令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問132 解説 問13(b) 問13
問13(b) 電気工作物に起因する供給支障事故について、次の(b)の問に答えよ。次の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。1 受電設備を含む配電系統において、過負荷又は短絡あるいは地絡が生じたとき、供給支障の拡大を防ぐため、事故点直上位の遮断器のみが動作し、他の遮断器は動作しないとき、これらの遮断器の間では(ア)がとられているという。2 図2は、図1の高圧需要家の事故点2又は事故点3で短絡が発生した場合の過電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。(ア)がとられている場合、遮断器Bの継電器動作特性曲線は、(イ)である。3 図3は、図1の高圧需要家の事故点2で地絡が発生した場合の零相電流と遮断器(遮断器A及び遮断器B)の継電器動作時間の関係を示したものである。(ア)がとられている場合、遮断器Bの継電器動作特性曲線は、(ウ)である。また、地絡の発生箇所が負荷側か電源側かを判別するため(エ)の使用が推奨されている。
- (1) 同期協調 曲線2 曲線3 地絡距離継電器
- (2) 同期協調 曲線1 曲線3 地絡方向継電器
- (3) 保護協調 曲線1 曲線4 地絡距離継電器
- (4) 保護協調 曲線2 曲線4 地絡方向継電器 ✓ 正答
- (5) 保護協調 曲線2 曲線3 地絡距離継電器
解説
受電設備を含む配電系統において、事故点直上位の遮断器のみを動作させて停電範囲を最小限に抑える設計は保護協調と呼ばれ、遮断器Bは遮断器Aよりも短時間で動作する曲線2および曲線4を選択するのが適切です。また、地絡事故時の方向判別には地絡方向継電器が用いられます。
保護協調の概念
配電系統において、過負荷、短絡、地絡などの事故が発生した際、事故点に近い側の遮断器が電源側の遮断器よりも先に遮断するように時間と電流の特性を調整することを保護協調といいます。これにより、事故の影響を最小限の範囲に留め、健全な系統への波及を防ぐことができます。保護協調を実現するためには、電源側に近い継電器ほど動作時間を長く設定する「時間協調」と、大電流が流れた際に瞬時に動作させる「電流協調」を適切に組み合わせる必要があります。
動作特性曲線の判断
遮断器Aは電源側に配置され、遮断器Bは事故点に近い需要家側に配置されています。
短絡事故時(図2) 遮断器Bは事故点により近い位置にあるため、遮断器Aが動作する前に遮断する必要があります。したがって、同じ電流値が流れた場合、遮断器Bの動作時間は遮断器Aよりも短く設定されなければなりません。図2において、曲線1よりも下側に位置する曲線2が、より短時間で動作する特性を示しているため、遮断器Bの特性としては曲線2が適しています。
地絡事故時(図3) 短絡事故と同様に、保護協調がとられている場合、遮断器Bは遮断器Aよりも先に動作する必要があります。図3において、曲線3よりも下側に位置する曲線4が、短時間で動作する特性を示しているため、遮断器Bの特性としては曲線4が適しています。
事故区間の判別
地絡事故が発生した際、それが自らの配電系統(負荷側)で起きたのか、それとも電源側で起きたのかを判別する必要があります。単に地絡電流の大きさだけで判断すると、外部事故と内部事故の切り分けができません。そこで、零相電圧と零相電流の位相関係から電流の流れる方向を検出し、自方向の事故かどうかを判別できる地絡方向継電器の使用が推奨されます。
図1における配電系統図と、図2および図3の特性曲線を重ねてみると、事故が発生した際にどの遮断器が優先的に動作すべきか、その順序が見えてきます。