令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問60 解説 問6 問6
問6 架空電線路の支持物に, 取扱者が昇降に使用する足場金具等を地表上1.8m未満に施設することができる場合として, 「電気設備技術基準の解釈」に基づき, 不適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 監視装置を施設する場合 ✓ 正答
- 足場金具等が内部に格納できる構造である場合
- 支持物に昇塔防止のための装置を施設する場合
- 支持物の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように, さく, へい等を施設する場合
- 支持物を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合
解説
架空電線路の支持物において、取扱者が昇降するための足場金具等を地表上1.8m未満に施設することは、他人が容易に昇塔することを防ぐための措置が講じられていない限り認められず、監視装置を施設することはこの条件を満たさないため不適切です。
足場金具の施設制限と保安対策の概念
電気設備技術基準の解釈第67条では、架空電線路の支持物に設ける足場金具について、感電や転落事故、あるいは第三者が無断で昇塔することを防ぐ目的で、原則として地表上1.8m以上の高さに施設することを求めています。この高さ制限は、取扱者以外の人が容易に支持物に登り、高圧や特別高圧の電線に接近して感電したり、支持物から墜落したりする危険を未然に防止するための保安上のルールです。
このルールに基づき、例外として1.8m未満に足場金具を設置できるのは、特定の「昇塔防止対策」が講じられている場合に限られます。これは、単にその場所に何らかの設備があるから許可されるというものではなく、物理的に人が昇ることを阻止、あるいは立ち入りを制限する機能が伴っているかどうかが判断基準となります。
施設条件の判断ステップ
電気設備技術基準の解釈第67条に基づき、足場金具を1.8m未満に施設できるケースと、そうでないケースを分類します。
昇塔防止装置の有無を確認する 支持物に人が登ることを物理的に阻害する昇塔防止装置を設けていれば、足場金具を低く配置しても安全が担保されるため、施設が認められます。
足場金具の構造を確認する 足場金具自体が内部に格納できる構造であれば、使用時以外は飛び出さないため、第三者が利用するリスクがなく、施設が認められます。
立入制限の有無を確認する 支持物の周囲にさくやへいを設けて第三者の接近を物理的に遮断している場合、あるいは山地などそもそも人が立ち入る可能性が極めて低い場所であれば、1.8m未満の施設が認められます。
監視装置の役割を照らし合わせる 監視装置は、設備の異常や状況を遠隔で把握するためのものであり、それ自体が人の昇塔を物理的に防止したり、立ち入りを制限したりする機能を有していません。したがって、監視装置を施設するという事実は、足場金具を低く配置してよい理由には該当しません。
監視装置という言葉の背後に隠された、人の接近や昇塔を抑制する機能があるかどうかという観点で選択肢の各条件を重ねてみると、物理的な防護の重要性が見えてきます。