令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問50 解説 問5 問5
問5 次の文章は,「電気設備技術基準」における(地中電線等による他の電線及び工作物への危険の防止)及び(地中電線路の保護)に関する記述である。a) 地中電線,屋側電線及びトンネル内電線その他の工作物に固定して施設する電線は,他の電線,弱電流電線等又は管(以下,「他の電線等」という。)と(ア)し,又は交さする場合には,故障時の(イ)により他の電線等を損傷するおそれがないように施設しなければならない。ただし,感電又は火災のおそれがない場合であって,(ウ)場合は,この限りでない。b) 地中電線路は,車両その他の重量物による圧力に耐え,かつ,当該地中電線路を埋設している旨の表示等により掘削工事からの影響を受けないように施設しなければならない。c) 地中電線路のうちその内部で作業が可能なものには,(エ)を講じなければならない。上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 接触,短絡電流,取扱者以外の者が容易に触れることがない,防火措置
- (2) 接近,アーク放電,他の電線等の管理者の承諾を得た,防火措置 ✓ 正答
- (3) 接近,アーク放電,他の電線等の管理者の承諾を得た,感電防止措置
- (4) 接触,短絡電流,他の電線等の管理者の承諾を得た,防火措置
- (5) 接近,短絡電流,取扱者以外の者が容易に触れることがない,感電防止措置
解説
電気設備技術基準において、地中電線等が他の電線等と接近し、又は交差する場合にアーク放電による損傷を防ぐ義務があること、および例外として他の電線等の管理者の承諾を得た場合にこの制限が緩和されること、さらに地中電線路の作業箇所に対する防火措置の必要性が規定されているため、(2)が正答となります。
地中電線路の施設に関する保安の考え方
電気設備技術基準では、地中電線路や工作物に固定して施設する電線について、周囲の他の工作物や管路への影響を最小限にするためのルールが定められています。地中電線で万が一の短絡や地絡事故が発生した際、その電流そのものよりも、故障点から発生する「アーク放電」が周囲に与える熱的・物理的被害が非常に大きいことが想定されます。そのため、基準では接近時の離隔距離や防護措置について詳細な規定が設けられています。
また、電線路の埋設・施設において、他者が管理する管路や通信線などの「他の電線等」と近接する場合、事故発生時の影響を考慮し、原則として相互の損傷を防ぐための施設が義務付けられます。ただし、あらかじめその管理者の承諾を得て、火災や感電のリスクがないと判断された場合には、例外的に柔軟な施設が認められる仕組みとなっています。
空白箇所における規定の適用判断
文中の各項目について、技術基準の規定に基づき判断します。
空白(ア)および(イ)について 地中電線等が「他の電線等」と接触することは避けるべき状態であり、基準上の文脈として「接近」し、又は交差する場合を想定します。また、事故時に他の設備を損傷させる主たる原因は、電流の経路として流れる短絡電流そのものよりも、高いエネルギーを瞬時に放出する「アーク放電」であるため、ここを防止対象として特定します。
空白(ウ)について 他の電線等との接近・交差において、感電や火災のおそれがないと認められる場合に、管理者の承諾を得て施設条件を緩和することは、実務上の調整プロセスとして一般的です。他の選択肢にある「取扱者以外の者が容易に触れることがない」といった条件は、一般の電気設備における防護の考え方としては正しいものの、この条文(地中電線等の危険防止)における緩和条件としては「管理者の承諾」が適当です。
空白(エ)について 地中電線路は密閉された空間となりやすいため、万が一火災が発生した際の延焼や被害拡大を防ぐ必要があります。したがって、内部で作業が可能な構造の地中電線路に対しては、適切な「防火措置」を施すことが必須となります。
地中電線路が埋め込まれた周囲の埋設物や、通路となる管路の内部状況に目を向けてみると、物理的な圧力への耐性と、万が一の故障時に周囲を保護する仕組みの両面が見えてきます。