令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問20 解説 問2 問2
問2 定格出力1000MW, 速度調定率5%のタービン発電機と, 定格出力300MW, 速度調定率3%の水車発電機が電力系統に接続され, 前者は80%出力, 後者は60%出力にて定格周波数(50Hz)でガバナフリー運転を行っている。負荷が急変して, 系統周波数が0.2Hz低下したとき, タービン発電機と水車発電機の出力[MW]の組合せとして, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし, このガバナフリー運転におけるガバナ特性は直線とし, 次式で表される速度調定率に従うものとする。また, この系統内で周波数調整を行っている発電機はこの2台のみとする。速度調定率 = ((n2-n1)/nn) / ((P1-P2)/Pn) * 100 [%] P1:初期出力[MW] P2:変化後の出力[MW] Pn:定格出力[MW] n1:出力P1における回転速度[min^-1] n2:変化後の出力P2における回転速度[min^-1] nn:定格回転速度[min^-1]
- 720MW 140MW
- 733MW 147MW
- 867MW 213MW
- 880MW 220MW ✓ 正答
- 933MW 204MW
解説
タービン発電機の出力は初期値から80MW増加して880MWとなり、水車発電機の出力は40MW増加して220MWとなるため、両者の合計出力は系統の周波数低下に対してガバナフリーの特性に従い正しく変化しています。
速度調定率とガバナフリー運転
発電機が系統に接続されているとき、負荷の変動によって系統の周波数が変化すると、発電機はガバナの働きによって出力を自動的に調整し、周波数の変動を抑制しようとします。これをガバナフリー運転と呼びます。
このとき重要な指標となるのが速度調定率です。速度調定率は、回転速度(周波数)の変化率に対して、発電機の出力がどれだけ変化するかを示す指標です。定義式にある回転速度の変化 は、系統周波数の変化率 に置き換えることができます。また、出力の変化分を 、定格出力を 、速度調定率を [%] とすると、以下の関係式が成り立ちます。
この式は、周波数変化率が大きいほど、また定格出力に対して速度調定率が小さいほど、発電機の出力変化分が大きくなることを示しています。
系統周波数低下時の出力計算
系統周波数が50Hzから0.2Hz低下したため、周波数変化率は となります。この変化に対して、各発電機がどの程度の出力増加を行うか算出します。
タービン発電機の出力変化分を算出します。定格出力 、速度調定率 を適用すると、 となります。初期出力が 出力である であるため、変化後の出力は です。
水車発電機の出力変化分を算出します。定格出力 、速度調定率 を適用すると、 となります。初期出力が 出力である であるため、変化後の出力は です。
それぞれの発電機について算出した変化後の出力を組み合わせることで、系統全体の周波数変動に対応した挙動が確定します。
系統の定格周波数や各発電機の定格出力、そして速度調定率の数値を見比べてみると、周波数低下に伴う出力配分のバランスが浮き彫りになってきます。