令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問10 解説 問1 問1
問1 極板間が比誘電率εrの誘電体で満たされている平行平板コンデンサに一定の直流電圧が加えられている。このコンデンサに関する記述a~eとして,誤っているものの組合せを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,コンデンサの端効果は無視できるものとする。a.極板間の電界分布はεrに依存する。b.極板間の電位分布はεrに依存する。c.極板間の静電容量はεrに依存する。d.極板間に蓄えられる静電エネルギーはεrに依存する。e.極板上の電荷(電気量)はεrに依存する。
- (1) a, b ✓ 正答
- (2) a, e
- (3) b, c
- (4) a, b, d
- (5) c, d, e
解説
極板間の電界と電位分布は外部から印加される直流電圧Vと極板間距離dのみで決定されるため、比誘電率εrには依存せず、これらを述べるaおよびbが誤りとなります。
平行平板コンデンサの基礎知識
平行平板コンデンサの性質を理解する上で、まず「電界の強さ」と「電位」の関係が重要です。極板間の距離をd、印加される電圧をVとすると、電界の強さEは次の式で表されます。
この式から分かる通り、電界の強さは電圧と距離だけで決まり、間に挿入される誘電体の性質(比誘電率εr)は含まれません。電位分布とは極板間の各地点における電位の変化を指しますが、これも同様に電界強度が一定であることから、電圧Vと距離dによってのみ決まります。
一方で、静電容量Cは誘電体の性質によって大きく変化します。静電容量Cは次の式で表されます。
ここで、ε0は真空の誘電率、Sは極板面積、dは距離です。この式から、静電容量は比誘電率εrに比例することが分かります。
比誘電率とコンデンサ各量の関係
コンデンサの各物理量が、一定の直流電圧Vが加えられている条件下でどのように変化するかを整理します。
- 電界および電位分布は、外部からの印加電圧Vと極板間距離dに依存して一意に定まるため、εrには依存しません。したがって、記述aと記述bは誤りです。
- 静電容量Cは、先に示した式のとおりであるため、εrに比例します。したがって、記述cは正しいといえます。
- 極板上の電荷Qは、という関係式に従います。電圧Vが一定のとき、電荷Qは静電容量Cに比例し、結果としてQはεrに比例することになります。したがって、記述eは正しいといえます。
- 静電エネルギーWは、で表されます。電圧Vが一定であれば、静電エネルギーWも静電容量Cに比例するため、εrに依存します。したがって、記述dは正しいといえます。
これらを踏まえると、誤っている記述であるaとbの組合せが導かれます。
極板の間に広がる見えない力場の強さと、印加された電圧の傾きを重ねてみると、誘電体の存在に関わらず揺るがない電界の姿が見えてきます。