第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 / 各問題解説 / 問20
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令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問20 解説 問2 問2

設問図

問2 真空中で導体球A及びBが軽い絶縁体の糸で固定点Oからつり下げられている。真空の誘電率をε0[F/m], 重力加速度をg[m/s^2]とする。A及びBは同じ大きさと質量m[kg]をもつ。糸の長さは各導体球の中心点が点Oから距離l[m]となる長さである。まず、導体球A及びBにそれぞれ電荷Q[C], 3Q[C]を与えて帯電させたところ、静電力による(ア)が生じ、図のようにA及びBの中心点間がd[m]離れた状態で釣り合った。ただし、導体球の直径はdに比べて十分に小さいとする。このとき、個々の導体球において、静電力F=[(イ)][N], 重力mg[N], 糸の張力T[N], の三つの力が釣り合っている。三平方の定理よりF^2+(mg)^2=T^2が成り立ち、張力の方向を考えるとF/Tはd/2lに等しい。これらよりTを消去し整理すると、dが満たす式として、k(d/2l)^3=sqrt(1-(d/2l)^2)が導かれる。ただし、係数k=[(ウ)]である。次に、AとBとを一旦接触させたところAB間で電荷が移動し、同電位となった。そしてAとBとが力の釣合いの位置に戻った。接触前に比べ、距離dは(エ)した。上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次から選べ。

  1. (1) 反発力, 3Q^2/(4πε0d^2), 16πε0l^2mg/(3Q^2), 増加 ✓ 正答
  2. (2) 吸引力, Q^2/(4πε0d^2), 4πε0l^2mg/Q^2, 増加
  3. (3) 反発力, 3Q^2/(4πε0d^2), 4πε0l^2mg/Q^2, 増加
  4. (4) 反発力, Q^2/(4πε0d^2), 16πε0l^2mg/(3Q^2), 減少
  5. (5) 吸引力, Q^2/(4πε0d^2), 4πε0l^2mg/Q^2, 減少

解説

導体球AにQ[C]、導体球Bに3Q[C]の同符号の電荷を与えると、クーロンの法則により両者の間には静電気的な反発力が働き、その後、接触により電荷が平均化されて各球の電荷が2Q[C]となると、静電力の大きさが変化し、これに伴い導体球同士の距離dが増加することで力の釣り合いが保たれます。

静電力と力の釣り合い

導体球のように電荷を帯びた物体間には、クーロンの法則に従い、電荷の積に比例し距離の二乗に反比例する力が働きます。電荷が同符号であれば反発し、異符号であれば引き合います。

導体球が糸で吊り下げられている状態では、以下の三つの力が釣り合っています。

  1. 重力:鉛直下向きに mg[N]
  2. 静電力:水平方向(反発力)に F[N]
  3. 糸の張力:糸に沿った斜め方向(上向きの分力で重力と釣り合う)に T[N]

このとき、力のベクトル図を描くと、糸の傾きと力F, mg, Tの関係は相似形を成します。糸の長さl、球間距離dに対し、糸が鉛直方向となす角をθとすると、幾何学的に sinθ = (d/2) / l = d/(2l) という関係が導かれます。力の釣り合いから、F/mg = tanθ となるため、以下の式が成り立ちます。

F = mg * tanθ = mg * (sinθ / cosθ) = mg * (d/2l) / sqrt(1 - (d/2l)^2)

導体球の電荷と距離の変動

今回の問題では、最初にQと3Qの電荷が与えられています。クーロンの法則より、静電力Fは以下のようになります。 F = (1 / 4πε0) * (Q * 3Q) / d^2 = 3Q^2 / (4πε0d^2)

この静電力を先ほどの釣り合いの式に代入し、dに関して整理すると、与えられた形式の式が得られます。 3Q^2 / (4πε0d^2) = mg * (d/2l) / sqrt(1 - (d/2l)^2) 両辺を整理して k(d/2l)^3 = sqrt(1 - (d/2l)^2) の形に合わせると、係数kは 16πε0l^2mg / (3Q^2) となります。

次に、二つの導体球を接触させると、電荷は移動し、合計の電荷4Qが等分されて各球は2Q[C]となります。このとき、接触前後の静電力の大きさを比較します。 接触前の静電力に関与する電荷の積は Q * 3Q = 3Q^2 です。 接触後の静電力に関与する電荷の積は 2Q * 2Q = 4Q^2 です。 したがって、接触後の方が静電力は大きくなります。反発力が強まると、導体球はより外側へ押し広げられるため、距離dは増加します。

導体球の中心間距離dが変化する様子と、糸が描く二等辺三角形の広がりを重ねてみると、静電力の強弱に伴う釣り合いの位置の移動が見えてきます。

参考リンク

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