令和5年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問161 解説 問16(a) 問16
問16(a) 図のように, 電源E[V], 負荷抵抗R[Ω], 内部抵抗Rv[kΩ]の電圧計及び内部抵抗Ra[Ω]の電流計を接続した回路がある。この回路において, 電圧計及び電流計の指示値がそれぞれV1[V], I1[A]であるとき, 次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし, 電圧計と電流計の指示値の積を負荷抵抗R[Ω]の消費電力の測定値とする。電流計の電力損失の値[W]を表す式として, 正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- V1^2/Ra
- V1^2/Ra - I1^2Ra
- V1^2/Rv + I1^2Ra
- I1^2Ra ✓ 正答
- I1^2Ra - I1^2Rv
解説
電流計の指示値が [A] を示しているとき、その内部抵抗 [Ω] に流れる電流も [A] そのものであるため、電流計での電力損失はジュールの法則により [W] と計算され、選択肢の「」が正答となります。
ジュールの法則と電気抵抗における電力損失
電気回路において、抵抗を持つ物質に電流が流れると、電気エネルギーが熱エネルギーへと変換されます。このとき発生する熱をジュール熱と呼び、単位時間あたりに消費される電気エネルギー、すなわち電力損失 [W] の大きさはジュールの法則によって決定されます。
ジュールの法則によれば、抵抗値が [Ω] の導体に電流 [A] が流れるとき、そこで発生する電力損失 [W] は次の式で表されます。
この式は、電力損失が「抵抗値」と「そこを流れる電流の2乗」の積に比例することを示しています。電気計測において、電流計や電圧計といった測定器は、回路の電気状態を乱さずに測定を行うのが理想ですが、実際には測定器自体もわずかな内部抵抗を持っています。そのため、測定器に電流が流れたり電圧が加わったりすると、内部抵抗によってわずかな電力損失が生じます。
電力損失を正確に計算する上で最も重要なポイントは、対象とする抵抗器に「実際に流れている電流」を正しく特定することです。回路全体の電源電圧や、他の並列回路に流れる電流など、計算対象の抵抗に直接関係のない数値を混ぜてしまうと、誤った計算結果になってしまいます。
電流計における電力損失の導出
電流計の内部抵抗を流れる電流を特定する 回路図において、電流計は負荷抵抗 [Ω] と直列に接続されています。電流計の指示値 [A] は、この電流計の内部を通過している電流の大きさを表しています。電流計が持つ内部抵抗 [Ω] は電流計の内部にあるため、この内部抵抗 [Ω] に流れる電流の大きさは、指示値と同じ [A] となります。
ジュールの法則を電流計の内部抵抗に適用して式を立てる 電流計の内部抵抗 [Ω] で発生する電力損失を求めるため、ジュールの法則の基本式 に、電流計の具体的な値を代入します。電流 には実際に流れている電流 [A] を、抵抗 には電流計の内部抵抗 [Ω] をそのまま代入すると、求める電力損失 [W] は次のようになります。
- 他の測定値や回路のパラメータとの関係を排除する 電圧計の指示値 [V] や電圧計の内部抵抗 [kΩ] は、電圧計側で発生する電力損失を計算する際には必要となりますが、電流計の内部抵抗に流れる電流とは直接関係がありません。すでに電流計の内部抵抗 [Ω] を流れる電流が [A] であると確定しているため、電圧計の数値 や を用いた複雑な計算を行う必要はなく、シンプルに だけが電流計の電力損失を表す正しい式となります。
回路図に描かれた電流計の記号と、そのすぐ上に示された内部抵抗 、そして直列に貫く電流 の位置関係を重ねてみると、電流計の内部で起こっている電力損失のシンプルな関係が見えてきます。