令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問30 解説 問3 問3
問3 問3「電気設備技術基準」では、過電流からの電線及び電気機械器具の保護対策について、次のように規定している。(ア) の必要な箇所には、過電流による (イ) から電線及び電気機械器具を保護し、かつ、(ウ) の発生を防止できるよう、過電流遮断器を施設しなければならない。上記の記述中の空白箇所 (ア)~(ウ) に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 幹線 過熱焼損 感電事故
- 配線 温度上昇 感電事故
- 電路 電磁力 変形
- 配線 温度上昇 火災
- 電路 過熱焼損 火災 ✓ 正答
解説
電気設備技術基準において、電路の保護対策は (ア) 電路、(イ) 過熱焼損、(ウ) 火災の順で規定されており、過電流による損傷とそれに伴う二次災害を未然に防ぐ目的で定められています。
過電流保護の目的と範囲
電気設備技術基準では、電路に過大な電流が流れた場合、その熱的影響で電線や電気機械器具が損傷すること、およびその熱によって周辺物へ延焼する火災事故を防止することを目的としています。
ここでいう過電流とは、配線や負荷機器の定格電流を超えて流れる電流のことであり、短絡(ショート)や過負荷が主な原因です。電線に電流が流れると、その抵抗によってジュール熱()が発生します。この発生する熱量が電線の許容温度を超えると、絶縁被覆が溶けたり、最悪の場合は焼損したりします。また、焼損した箇所から高温の火花や熱源が放出されると、周囲の可燃物に引火し、建物全体の火災につながる危険性があります。
過電流遮断器は、この電流による熱の蓄積を遮断するための装置です。電気設備技術基準では、どのような範囲の保護が必要かを明確にするため、広く「電路」を対象として規定しています。
過電流保護規定の適用
規定の穴埋めを以下の手順で判断します。
保護の対象範囲を特定する 過電流による影響を抑える対象は、特定の幹線や分岐回路に限らず、電流が流れる経路全体であるため、「電路」が適当です。「配線」とした場合、範囲が限定的になりすぎます。
過電流による物理的な影響を特定する 過電流が流れることで電線や電気機器に発生する現象は、熱的なエネルギーの蓄積による損傷です。「過熱焼損」がこの現象を正確に表しています。「温度上昇」は現象の過程ですが、保護の目的は「損壊(焼損)」を防ぐことにあります。
保護の目的である二次的な事故を特定する 過熱焼損が進行した先に引き起こされる最大のリスクは「火災」です。感電事故は漏電遮断器などが担う保護の役割であり、過電流遮断器の主目的ではありません。
規定の文章が示す「電路」「過熱焼損」「火災」という言葉を順に並べてみると、電力設備が過電流から守られる仕組みの全体像が見えてきます。