令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問80 解説 問8 問8 次の文章は、「電気設備技術基準」における、電気使用場所での配線の使用電線に関する記述である。
問8 a) 配線の使用電線((ア))及び特別高圧で使用する((イ))を除く。)には、感電又は火災のおそれがないよう、施設場所の状況及び((ウ))に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。b) 配線には、((ア))を使用してはならない。ただし、施設場所の状況及び((ウ))に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りではない。c) 特別高圧の配線には、((イ))を使用してはならない。上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 接触電線 移動電線 施設方法
- (2) 接触電線 裸電線 使用目的
- (3) 接触電線 裸電線 電圧
- (4) 裸電線 接触電線 使用目的
- (5) 裸電線 接触電線 電圧 ✓ 正答
解説
電気設備に関する技術基準を定める省令(電技省令)の配線の使用電線に関する規定を理解することで、(ア)裸電線、(イ)接触電線、(ウ)電圧の組み合わせである正解の(5)が導き出されます。
配線に使用する電線の安全基準
電気設備に関する技術基準を定める省令は、感電や火災といった電気に起因する事故を未然に防ぎ、電気の安全な利用を確保するために、電気設備の技術的な基準を定めています。配線に使用する電線についても厳格な規定があり、特に導体が直接露出している電線の使用は制限されます。
裸電線(はだかでんせん) 導体が絶縁被覆を持たず、金属が外部に露出している電線を指します。感電や短絡(ショート)のリスクが非常に高いため、一般の屋内配線や屋外配線での使用は原則として禁止されています。しかし、架空送電線や接地線のように、特定の施設方法や場所、または電圧条件下で、十分な安全対策が講じられている場合に限り、使用が認められることがあります。
接触電線(せっしょくでんせん) 裸電線の一種で、移動する集電装置(例:電気鉄道のトロリ線、クレーンの給電線)に接触して電流を供給する目的で使用される電線です。裸電線と同様に感電のリスクが高く、特に特別高圧のような高電圧環境での使用は厳しく制限されています。電技省令では、特別高圧の配線には接触電線を使用してはならないと明確に規定されています(ただし、一部例外規定があります)。
絶縁電線(ぜつえんでんせん) 導体が絶縁体で覆われている電線を指します。感電や短絡のリスクを大幅に低減するため、一般的に配線に使用されます。
電圧 電気回路における電位差を示す量です。電圧が高いほど、感電時の危険性や絶縁破壊のリスクが増大します。そのため、配線に使用する電線の種類や絶縁性能、施設方法は、その配線にかかる電圧の大きさに応じて厳しく定められます。低圧、高圧、特別高圧といった電圧区分ごとに異なる安全基準が適用されます。
施設場所の状況 配線を設置する環境(例:屋内、屋外、乾燥場所、湿潤場所、高温場所、危険物がある場所など)も、電線の選定や施設方法に影響を与えます。例えば、湿潤な場所では防湿性のある電線が必要とされたり、機械的な損傷のリスクがある場所では十分な強度を持つ電線や保護管が必要とされたりします。
空白箇所への当てはめ
提示された問題文の空白箇所(ア)~(ウ)に、上記の知識を当てはめていきます。
空白箇所(ア)の特定 b)の記述に「配線には、(ア)を使用してはならない。ただし、…絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りではない。」とあります。 「絶縁性がないことを考慮して」という表現は、導体が外部に露出している電線を指しています。これは「裸電線」の定義と一致します。そのため、(ア)には「裸電線」が入ります。
空白箇所(イ)の特定 a)の記述に「配線の使用電線((ア)及び特別高圧で使用する(イ)を除く。)には、…」とあり、 c)の記述に「特別高圧の配線には、(イ)を使用してはならない。」とあります。 c)の「特別高圧の配線には、(イ)を使用してはならない」という規定は、特別高圧という非常に高い電圧環境において、感電リスクの大きい特定の電線種の利用が原則禁止されていることを示唆しています。特に、移動する集電装置と接触する「接触電線」は、特別高圧での使用が原則として禁止されています。これは電気設備に関する技術基準の解釈第106条に明記されています。したがって、(イ)には「接触電線」が入ります。
空白箇所(ウ)の特定 a)の記述に「施設場所の状況及び(ウ)に応じ、使用上十分な強度及び絶縁性能を有するものでなければならない。」とあり、 b)の記述に「施設場所の状況及び(ウ)に応じ、使用上十分な強度を有し、かつ、絶縁性がないことを考慮して、配線が感電又は火災のおそれがないように施設する場合は、この限りではない。」とあります。 電線の強度や絶縁性能、あるいは裸電線の使用可否を決定する上で、「施設場所の状況」と並んで最も重要な要素は「電圧」です。電圧の高さは電線の選定基準や求められる安全対策に直接影響を与えます。したがって、(ウ)には「電圧」が入ります。
以上のステップから、(ア)裸電線、(イ)接触電線、(ウ)電圧の組み合わせが正しく、これは選択肢(5)と一致します。
配線に使用する電線の種類や施設方法が、施設の状況や電圧によってどのように異なるかを「電気設備に関する技術基準を定める省令」に照らして見ると、安全確保のための緻密な規定が見えてきます。