第三種電気主任技術者試験 / 令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問90
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令和5年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問90 解説 問9 問9

設問図

問9 次の文章は,コロナ損に関する記述である。送電線に高電圧が印加され,(ア)がある程度以上になると,電線からコロナ放電が発生する。コロナ放電が発生するとコロナ損と呼ばれる電力損失が生じる。コロナ放電の発生を抑えるには,電線の実効的な直径を(イ)するために(ウ)する,線間距離を(エ)する,などの対策がとられている。コロナ放電は,気圧が(オ)なるほど起こりやすくなる。上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次から選べ。

  1. (1) 電流密度,大きく,単導体化,大きく,低く
  2. (2) 電線表面の電界強度,大きく,多導体化,大きく,低く ✓ 正答
  3. (3) 電流密度,小さく,単導体化,小さく,高く
  4. (4) 電線表面の電界強度,小さく,単導体化,大きく,低く
  5. (5) 電線表面の電界強度,大きく,多導体化,小さく,高く

解説

コロナ放電は電線表面の電界強度が空気の絶縁破壊強度を超えたときに発生するため、送電線では多導体化により等価的な直径を大きくして電界強度を抑え、線間距離を広げることで電界強度を低減させ、気圧が低いほど空気の絶縁耐力が低下して放電しやすくなるという特性があります。

コロナ放電の発生原理

コロナ放電とは、電線周囲の空気の絶縁が部分的に破壊されて起こる現象です。電線に高い電圧を印加すると、電線の周囲には電界が発生します。この電界の強さ(電界強度)が、空気の絶縁を保てる限界である「絶縁破壊強度」を超えると、空気分子がイオン化し、発光や音を伴う放電現象が生じます。したがって、コロナ放電の発生を直接左右するのは電流そのものではなく、電線表面に加わる電位の傾きである電界強度です。

電界強度を低減する設計

電線表面の電界強度を低減するには、電線の等価的な半径を大きくすることが有効です。

  1. 電線の実効的な直径を大きくする:電線1本あたりの表面電界強度を小さくするため、複数の素線を束ねた多導体方式を採用します。これにより、電線全体としての直径が等価的に大きくなり、周囲の電界が緩和されます。
  2. 線間距離を大きくする:電線同士の距離や、大地までの距離を広げることで、電線間に加わる電位差による電界の集中を和らげることができます。

気圧と絶縁耐力の関係

空気の絶縁耐力は気圧に依存します。気圧が低くなると、空気分子の密度が小さくなり、電離した電子が他の分子と衝突するまでの距離(平均自由行程)が長くなります。その結果、電子が加速されて次の電離を引き起こしやすくなるため、空気は絶縁破壊を起こしやすくなります。このため、高地など気圧が低い環境ではコロナ放電が発生しやすくなります。

設問への適用

(ア) コロナ放電の発生基準は「電線表面の電界強度」です。 (イ) 「実効的な直径を大きくする」ことで、表面の電界集中を緩和します。 (ウ) そのための手法が「多導体化」です。 (エ) 「線間距離を大きくする」ことで、静電容量を減らし、全体的な電界強度を低減します。 (オ) 気圧が「低く」なると、絶縁耐力が低下して放電が発生しやすくなります。

電線表面の曲率と周囲に広がる電界の広がりを重ねてみると、直径を大きくすることの物理的な意味が見えてきます。

参考リンク

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