令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問122 解説 問12(b) 問12
問12(b) 図は三相3線式高圧電路に変圧器で結合された変圧器低圧側電路を示したものである。低圧側電路の一端子にはB種接地工事が施されている。この電路の一相当たりの対地静電容量をCとし接地抵抗をRBとする。低圧側電路の線間電圧200V,周波数50Hz,対地静電容量Cは0.1μFとして,次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし,(ア)変圧器の高圧電路の1線地絡電流は5Aとする。(イ)高圧側電路と低圧側電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合は1.3秒で自動的に高圧電路を遮断する装置が設けられているものとする。接地抵抗RBの抵抗値を10Ωとしたときに,RBに常時流れる電流IBの値[mA]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし,記載以外のインピーダンスは無視するものとする。
- 11 ✓ 正答
- 19
- 33
- 65
- 192
解説
低圧電路の各相と大地間に存在する静電容量 に流れる対地静電容量電流を合計したものが、接地抵抗 を通じて大地へ還流するため、回路の線間電圧 200 V、周波数 50 Hz、対地静電容量 の条件から計算される電流値は約 11 mA となります。
対地静電容量と電流の性質
三相電路の各相は、大地との間にそれぞれ対地静電容量 を持っています。電路が大地に対して平衡な状態にあるとき、各相の対地電圧は線間電圧 を で割った相電圧 となります。この電圧が印加されることで、各相の静電容量には (ここで )の電流が流れます。
三相電路全体では3つの相それぞれにこの電流が流れますが、これら3つの対地静電容量電流は互いに位相が120度ずつずれているため、三相平衡回路におけるベクトル和は理論上ゼロとなります。しかし、接地抵抗 が接続されている点から見ると、これら3つの電流の合成成分が接地線を通じて大地へと流れる経路が形成されます。
電流値の算出手順
接地抵抗 を流れる電流 を求めるために、以下の手順で計算を行います。
相電圧の算出 線間電圧 を で除して、対地電圧(相電圧)を求めます。
一相当たりの対地静電容量電流の算出 角周波数 を用いて、一相当たりの電流 を求めます。
接地抵抗を流れる全電流の算出 三相分(3本)の線から流れてくる電流の総和を求めます。接地抵抗 は非常に小さいため、静電容量のリアクタンスに比べて無視できるほど小さく、回路全体としては対地静電容量電流の総和がそのまま接地抵抗へ集中します。
この結果、選択肢の中で最も近い 11 mA が導かれます。接地抵抗 の値が小さく、インピーダンス全体の主成分が静電容量のリアクタンスであることに着目すると、回路図上で電路の各相から接地抵抗へ向かう電流の流れがより鮮明に浮かび上がってきます。