第三種電気主任技術者試験 / 令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 / 各問題解説 / 問110
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令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 問110 解説 問11 問11

設問図

問11 図に示すように, 電動機が減速機と組み合わされて負荷を駆動している。このときの電動機の回転速度nmが1200min-1, トルクTmが100N・mであった。減速機の減速比が6, 効率が0.96のとき, 負荷の回転速度nL[min-1], 軸トルクTL[N・m]及び軸入力PL[kW]の値として, 最も近いものを組み合わせたのは次のうちどれか。

  1. 200, 16.0, 12.1
  2. 200, 576, 12.1 ✓ 正答
  3. 7200, 576, 4147
  4. 7200, 16.0, 12.1
  5. 7200, 16.0, 4147

解説

電動機の回転速度が 1200 min−11200\text{ min}^{-1}、トルクが 100 N⋅m100\text{ N}\cdot\text{m} のとき、減速比 66 および効率 0.960.96 の減速機を介することで、負荷の回転速度は 200 min−1200\text{ min}^{-1} に低下し、軸トルクは効率損失を受けて 576 N⋅m576\text{ N}\cdot\text{m} となり、これらから求められる軸入力は 12.1 kW12.1\text{ kW} となるため、選択肢(2)が正答となります。

減速機における回転運動の伝達とエネルギー保存の法則

減速機は、歯車の噛み合わせなどを利用して電動機からの回転速度を下げ、そのぶん大きなトルクを負荷側へ伝達するための機械装置です。この回転速度とトルクの変化の根底にはエネルギー保存の法則が存在します。

回転運動における機械的出力(仕事率)P [W]P\text{ [W]} は、軸を回す力であるトルク T [N⋅m]T\text{ [N}\cdot\text{m]} と、1秒間あたりの回転角を表す角速度 ω [rad/s]\omega\text{ [rad/s]} の積で表されます。回転速度が n [min−1]n\text{ [min}^{-1}\text{]} のとき、角速度は ω=2πn60 [rad/s]\omega = \frac{2 \pi n}{60}\text{ [rad/s]} となるため、機械的出力の基本式は次のようになります。

P=ωT=2πnT60 [W]P = \omega T = \frac{2 \pi n T}{60}\text{ [W]}

摩擦などの損失がない理想的な減速機であれば、入力側の機械的出力と出力側の機械的出力は等しく保たれます。そのため、減速比 ii によって回転速度が 1i\frac{1}{i} に減速すると、出力側のトルクは原理的に ii 倍へ増幅されます。

しかし、実際の減速機内部では歯車どうしの摩擦や潤滑油の抵抗によって機械的損失が発生します。この損失の割合を表すのが効率 η\eta であり、減速によって増幅されたトルクに対して効率を掛け合わせることで、実際に負荷へ伝わるトルクが決まります。

負荷の回転速度・軸トルク・軸入力の決定

  1. 負荷の回転速度 nL [min−1]n_L\text{ [min}^{-1}\text{]} は、電動機の回転速度 nm=1200 min−1n_m = 1200\text{ min}^{-1} を減速比 66 で割ることで定まります。 nL=nm6=12006=200 min−1n_L = \frac{n_m}{6} = \frac{1200}{6} = 200\text{ min}^{-1} 減速機は回転を遅くする装置であるため、乗算を行って回転速度を速く計算する選択肢(7200 min−17200\text{ min}^{-1})は誤りとなります。

  2. 負荷の軸トルク TL [N⋅m]T_L\text{ [N}\cdot\text{m]} は、電動機のトルク Tm=100 N⋅mT_m = 100\text{ N}\cdot\text{m} に減速比 66 を乗じた値に対して、減速機の効率 η=0.96\eta = 0.96 を掛けることで得られます。 TL=Tm×6×η=100×6×0.96=576 N⋅mT_L = T_m \times 6 \times \eta = 100 \times 6 \times 0.96 = 576\text{ N}\cdot\text{m} 減速によってトルクは大きくなりますが、効率が 11 未満(0.960.96)であるため、損失の分だけトルクの増加量が抑えられます。トルクを減速比で割る計算(100/6=16.6 N⋅m100 / 6 = 16.6\text{ N}\cdot\text{m} 付近)を行うと、減速によってトルクが増大するという機械的特性に反します。

  3. 負荷の軸入力 PL [kW]P_L\text{ [kW]} は、求めた回転速度 nL=200 min−1n_L = 200\text{ min}^{-1} と軸トルク TL=576 N⋅mT_L = 576\text{ N}\cdot\text{m} を用いて回転運動の機械的出力公式に代入し、W\text{W} から kW\text{kW}(1000 W=1 kW1000\text{ W} = 1\text{ kW})へ単位を換算して算出します。 PL=2π×nL×TL60×1000 [kW]P_L = \frac{2 \pi \times n_L \times T_L}{60 \times 1000}\text{ [kW]} PL=2×π×200×57660000≈12.0637 kWP_L = \frac{2 \times \pi \times 200 \times 576}{60000} \approx 12.0637\text{ kW} 小数点第2位を四捨五入すると 12.1 kW12.1\text{ kW} に導かれます。

電動機の小歯車と負荷側の大きな歯車が噛み合う配置や減速比の数値に目を向けてみると、速度が遅くなることで力が大きくなる物理的な関係が見えてきます。

参考リンク

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