令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 問162 解説 問16(b) 問16
問16(b) 図1に示す降圧チョッパの回路は,電圧Eの直流電源,スイッチングするパワー半導体デバイスS,ダイオードD,リアクトルL,及び抵抗Rの負荷から構成されている。また,図2には,図1の回路に示すダイオードDの電圧vDと負荷の電流iRの波形を示す。電圧Eが100V,降圧チョッパの通流率が50%,負荷抵抗Rが2Ωとする。パワー半導体デバイスSは周期Tの高周波でスイッチングし,リアクトルLの平滑作用により,図2に示す電流iRのリプル成分は十分小さいとする。電流iRの平均値IR[A]として,最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 17.7
- 25.0 ✓ 正答
- 35.4
- 50.1
- 70.7
解説
直流電源電圧100Vおよび通流率50%の降圧チョッパにおいて負荷にかかる平均電圧は50Vとなり、これを負荷抵抗2Ωで割ることで負荷電流の平均値は25.0A(選択肢の25.0)と定まります。
降圧チョッパ動作とオームの法則による回路特性
降圧チョッパは、直流電源の電圧をスイッチングデバイスによってパルス状に切り換え、平均的な電圧を元の電源電圧よりも低く変換して負荷に供給する電力変換回路です。
スイッチング周期を 、1周期のうちスイッチSがオン(導通)している時間を とするとき、通流率(デューティ比) は次の比率で定義されます。
回路内のダイオードやスイッチの電圧降下を無視できる理想的な動作状態において、ダイオード両端に現れる電圧 は、スイッチがオンの期間に電源電圧 と等しくなり、オフの期間に となります。この矩形波状の電圧波形 の1周期にわたる時間平均値、すなわち負荷に加わる平均電圧 は、通流率 を用いて次のように表されます。
回路に挿入されているリアクトル は、電流の変化を妨げる向きに起電力を生じる自己誘導作用を持ちます。スイッチング周期 が十分に短く、リアクトルのインダクタンスが十分に大きい場合、リアクトルは電流の急激な変動を抑える平滑化回路として機能します。これにより、波形に含まれる脈動成分(リプル成分)は無視できるほど小さくなり、負荷電流 はほぼ一定の直流電流とみなせます。
このように平滑化された定常状態の回路において、平均電圧 と平均電流 、そして負荷抵抗 の間には、電気回路の基本法則であるオームの法則が成り立ちます。
オームの法則は、回路を流れる電流の大きさが加わる電圧に比例し、抵抗値に反比例するという性質を表す法則です。
降圧チョッパ回路で得られる平均電圧をオームの法則に適用することで、平滑化された平均電流の大きさを正確に求めることができます。
降圧チョッパ回路の平均電流計算
電源電圧 および通流率 の条件から、負荷にかかる平均電圧 を算出します。平均電圧の式 に与えられた数値を代入すると、 となります。
計算された平均電圧 と負荷抵抗 に対してオームの法則 を適用します。各値を代入すると と導かれ、電流の平均値が求まります。
図2のダイオード電圧波形 が示す高低差 のパルス波形と、それに追従して上下に小刻みに揺れながら一定の中心線を保つ電流波形 を重ね合わせて見ると、時間平均によって平滑化される電圧と電流の直感的な関係が浮かび上がってきます。