令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 機械科目 問70 解説 問7 問7
問7 次の文章は,交流機における電機子巻線法に関する記述である。電機子巻線法には,1相のコイルをいくつかのスロットに分けて配置する(ア)と,集中巻がある。(ア)の場合,各極各相のスロット数は(イ)となる。(ア)において,コイルピッチを極ピッチよりも短くした巻線法を(ウ)と呼ぶ。この巻線法を採用すると,(エ)は小さくなるが,コイル端を短くできることや,(オ)が改善できるなどの利点があるため,一般的に良く用いられている。上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 分布巻 2未満 短節巻 励磁電流 電圧波形
- (2) 分散巻 2未満 全節巻 励磁電流 力率
- (3) 分布巻 2未満 短節巻 励磁電流 力率
- (4) 分布巻 2以上 短節巻 誘導起電力 電圧波形 ✓ 正答
- (5) 分散巻 2以上 全節巻 誘導起電力 力率
解説
電機子巻線の配置において、各極各相のスロット数が2以上である分布巻を採用し、コイルピッチを極ピッチより短くする短節巻を組み合わせることで、誘導起電力のわずかな減少と引き換えにコイル端の短縮と電圧波形の改善が実現されるため、選択肢(4)が正しい組合せとなります。
分布巻と集中巻の構造
交流機の電機子巻線法には、1相のコイルを1つの磁極の下にある複数のスロットに分散させて配置する分布巻と、1つのスロットにまとめて配置する集中巻があります。分布巻では、1相あたりのコイルが複数のスロットに分かれるため、各極各相あたりのスロット数(q)は必ず2以上の整数値となります。これに対し、集中巻ではqが1となります。
短節巻による特性の変化
コイルピッチ(コイルの辺から辺までの距離)を極ピッチ(磁極のN極からS極までの間隔)と等しく巻く方法を全節巻と呼びます。これに対し、コイルピッチを極ピッチよりも短くしたものを短節巻と呼びます。
短節巻を採用すると、個々のコイルに誘起される電圧の位相がわずかにずれるため、合成された誘導起電力の大きさは、全節巻の場合と比較してわずかに小さくなります。しかし、この巻線法には以下の二つの大きな利点があります。
- コイル端の短縮:コイルの張り出し部分が小さくなるため、銅線の使用量を節約でき、巻線の抵抗損失を減らすことができます。
- 電圧波形の改善:分布巻や短節巻の係数(分布係数や節ピッチ係数)は、高調波に対してより大きく減少する性質があります。これにより、基本波に対する高調波の割合が減少し、誘導起電力の波形を正弦波に近づけることができます。
各項目へのあてはめ
提示された条件を順に整理して、正しい組合せを特定します。
- 1相のコイルを複数のスロットに分ける方法は分布巻であり、この時の各極各相スロット数は2以上となります。
- コイルピッチを極ピッチより短くする手法は短節巻です。
- 短節巻を採用すると、前述の通り誘導起電力は全節巻よりわずかに小さくなります。
- この手法により、高調波成分が抑制されることで電圧波形が改善されます。
これらを満たす選択肢は(4)となります。
電機子巻線の配置図とコイルが収まるスロットの位置関係を重ねてみると、コイルピッチが磁極の幅に対してどう変化しているか、その形状と誘導起電力への影響が見えてきます。