導体の温度上昇に伴い、線膨張係数に従って電線が伸びることで、径間の中央で支えるたるみが2mから約2.39mへ増加します。
電線のたるみと幾何学的な関係
架空電線路において、支持点間の距離(径間)を S、電線のたるみを D とすると、電線の全長 L は以下の放物線の近似式で表されます。
L≈S+3S8D2
この式は、たるみ D が径間 S に対して十分に小さい場合に成立する関係式です。また、温度変化 ΔT が加わると、電線はその長さが線膨張係数 α に比例して変化します。温度上昇前の長さを L、温度上昇後の新しい長さを L′ とすると、以下の関係が成り立ちます。
L′=L(1+αΔT)
これらの関係式を用いることで、温度変化に伴う電線の長さの伸びから、新しいたるみの大きさを算出できます。
温度変化に伴うたるみの算出プロセス
初期状態の電線長さを算出する
径間 S=100m、初期たるみ D=2m を近似式に代入します。
L=100+3×1008×22=100+30032≈100.1067m
温度上昇後の電線長さを算出する
温度変化 ΔT=60−30=30∘C、線膨張係数 α=1.5×10−5/∘C を用いて、新しい長さ L′ を求めます。
L′=100.1067×(1+1.5×10−5×30)=100.1067×1.00045≈100.1517m
新しい状態のたるみを決定する
近似式 L′≈S+3S8D′2 を D′ について整理し、数値を代入します。
D′=83S(L′−S)=8300×(100.1517−100)=8300×0.1517=5.68875≈2.385m
計算結果から、温度が60℃になったときのたるみは、約2.39mとなります。
気温が上昇した際に、電線が緩んで垂れ下がる様子を想像しながら、径間の中央へ伸びていく線の軌跡に目を向けてみてください。
参考リンク