令和6年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問172 解説 問17(b) 問17
問17(b)
送電線のフェランチ現象に関する問である。三相3線式1回線送電線の一相が図のπ形等価回路で表され、送電線路のインピーダンスjX=j200Ω, アドミタンスjB=j0.800mSとし, 送電線の線間電圧が66.0kVであり, 受電端が無負荷のとき, 1線当たりの送電端電流の値[A]として, 最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 15.2
- 16.6
- 28.7
- 31.8 ✓ 正答
- 55.1
解説
送電端電流は、送電端側の並列アドミタンスに流れる電流と、直列インピーダンスを通じて受電端へ向かう電流のベクトル和として算出され、各条件を代入することで31.8 Aという値が導かれます。
フェランチ現象とπ形等価回路の役割
長距離の送電線路は、導線間の静電容量や導線そのもののインダクタンスを無視できません。これらを再現したモデルがπ形等価回路です。線路の静電容量は両端にアドミタンス j2B として配置され、線路のインダクタンスは直列インピーダンス jX として配置されます。
受電端が無負荷(開放状態)のとき、受電端側のコンデンサに流れる電流はそのまま電圧降下を引き起こします。送電端から見たとき、静電容量による進み電流がインダクタンスを流れることで、受電端電圧が送電端電圧よりも高くなる現象をフェランチ現象と呼びます。この計算では、送電端に印加された電圧が回路の各要素にどのような電流を生じさせているかを、オームの法則およびキルヒホッフの電流則に基づいて解明します。
送電端電流の算出過程
送電端電流 Is を求めるには、送電端から見た回路を二つの経路に分けて考えます。
送電端側のアドミタンス j2B に直接流れ込む電流 Ic1 を計算します。
送電端の相電圧を Vs とすると、Ic1=j2B⋅Vs で表されます。
線間電圧 66.0kV を相電圧に換算すると、Vs=366000≈38105V です。
これより、Ic1=j(0.4×10−3)×38105≈j15.24A となります。
送電端から直列インピーダンス jX を経由して受電端側へ流れる電流 Iseries を計算します。
この電流は、Iseries=jXVs−Vr で求められます。ここで、Vr は受電端の相電圧です。
設問の条件(無負荷時)において、受電端電圧 Vr は、送電端の並列コンデンサと直列インピーダンスによる分圧作用によって Vr=1−2BXVs≈1−(0.8×10−3×200/2)38105=0.9238105≈41418V となります。
したがって、Iseries=j20038105−41418=j200−3313≈j16.57A です。
全体の送電端電流 Is は、これら二つの電流の和となります。
Is=Ic1+Iseries=j15.24+j16.57=j31.81A。
この絶対値をとると 31.8A が得られます。
回路図上の各インピーダンスとアドミタンスの配置に電流の分岐を重ねてみると、無負荷状態であっても送電端から電流が流れ出ている理由が見えてきます。
参考リンク
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