第三種電気主任技術者試験 / 令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 / 各問題解説 / 問132
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令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問132 解説 問13(b) 問13

設問図

問13(b) 変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧100Vの金属製外箱を有する空調機がある。この変圧器のB種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された空調機の金属製外箱のD種接地抵抗値に関して、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、次の条件によるものとする。(ア)変圧器の高圧側の電路の1線地絡電流は5Aで,B種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」で許容されている最高限度の1/3に維持されている。(イ)変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に,0.8秒で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている。空調機に地絡事故が発生した場合,空調機の金属製外箱に触れた人体に流れる電流を10mA以下としたい。このための空調機の金属製外箱に施すD種接地工事の接地抵抗値[Ω]の上限値として,最も近いのは次のうちどれか。ただし,人体の電気抵抗値は6000Ωとする。

  1. 10
  2. 15
  3. 20
  4. 30
  5. 60 ✓ 正答

解説

問13(a)より得られるB種接地抵抗値の40 Ω\Omega を前提として、空調機の地絡事故時に人体とD種接地抵抗が並列となる等価回路に分圧の法則とオームの法則を適用することにより、外箱の対地電圧を60 V以下、すなわちD種接地抵抗値を60 Ω\Omega 以下に抑えれば、人体に流れる電流を10 mA以下に制限できるため、選択肢の「60」が正答となります。

接地回路における電圧の分圧と人体への通電現象

変圧器を介して高圧から低圧へ電力を供給する系統において、低圧側の電路は混触時の昇圧防止のため、B種接地工事によって大地に接続されています。この低圧系統に接続された金属製外箱を持つ機器で地絡(電路が絶縁劣化などで外箱に接触する事故)が発生した場合、地絡電流は「電源 → 外箱 → D種接地極 → 大地 → B種接地極 → 電源」という大地を経由する閉回路を流れます。

このとき、機器の外箱と大地の間に発生する電位差(対地電圧)は、B種接地抵抗 RBR_B とD種接地抵抗 RDR_D の直列回路における分圧の法則によって決定されます。分圧の法則とは、直列に接続された抵抗群において、全体の電圧が各抵抗値の比率に応じて分配されるという法則です。この問題における外箱の対地電圧 VV は、低圧側の使用電圧100 Vが RBR_B と RDR_D によって分圧されたうちの、D種接地抵抗 RDR_D の両端に加わる電圧に相当します。

さらに、この外箱に人間が触れた場合、人体はD種接地抵抗 RDR_D に対して並列に接続されます。並列接続された回路では、並列になったどの経路にも同じ電圧が加わります。したがって、外箱に触れた人体にかかる電圧は、外箱の対地電圧 VV そのものになります。

人体に流れる電流 IhI_h を求めるにはオームの法則を用います。オームの法則は、抵抗を流れる電流が、その両端に加わる電圧に比例し、抵抗値に反比例するという関係(I=V/RI = V / R)を示したものです。人体の抵抗値 RhR_h は6000 Ω\Omega であり、一般的なD種接地抵抗値(数十 Ω\Omega 程度)に比べて非常に大きいため、人体が並列接続されたことによる全体の合成抵抗への影響は無視できます。これにより、人体に流れる電流は、外箱の対地電圧 VV を人体の抵抗値 RhR_h で割ることで求めることができます。

地絡発生時における接地抵抗の計算

  1. B種接地工事の接地抵抗値を算出する 電気設備技術基準の解釈第17条に基づき、高圧電路と低圧電路の混触時に1秒以内に自動的に遮断する装置がある場合、B種接地抵抗値の最高限度は 600/I1600 / I_1(I1I_1 は1線地絡電流)で求められます。条件(ア)より1線地絡電流 I1I_1 は5 Aなので、最高限度は 600/5=120 Ω600 / 5 = 120\ \Omega となります。実際の接地抵抗値はこの最高限度の3分の1に維持されているため、B種接地抵抗値 RBR_B は次のように求まります。 RB=120×13=40 ΩR_B = 120 \times \frac{1}{3} = 40\ \Omega

  2. 人体に流れる電流の制限から許容される外箱の対地電圧を求める 人体に流れる電流 IhI_h を10 mA(0.01 A)以下にする必要があります。人体の抵抗値 RhR_h は6000 Ω\Omega であるため、オームの法則 Ih=V/RhI_h = V / R_h より、許容される外箱の最大対地電圧 VV を計算します。 0.01≥V60000.01 \ge \frac{V}{6000} V≤60 VV \le 60\ \text{V} これにより、地絡時に外箱の対地電圧が60 V以下であれば、人体に流れる電流を10 mA以下に抑えられることが分かります。

  3. 分圧の法則を用いてD種接地抵抗値の上限を算出する 地絡事故時、使用電圧100 VはB種接地抵抗 RBR_B(40 Ω\Omega)とD種接地抵抗 RDR_D によって分圧されます。外箱の対地電圧 VV が60 V以下となる条件を不等式で表します。 100×RD40+RD≤60100 \times \frac{R_D}{40 + R_D} \le 60 分母の 40+RD40 + R_D を両辺に掛けます。 100RD≤60(40+RD)100 R_D \le 60(40 + R_D) 100RD≤2400+60RD100 R_D \le 2400 + 60 R_D 両辺から 60RD60 R_D を引きます。 40RD≤240040 R_D \le 2400 両辺を40で割ることで、D種接地抵抗値 RDR_D の条件が求まります。 RD≤60 ΩR_D \le 60\ \Omega したがって、D種接地工事の接地抵抗値の上限値は60 Ω\Omega となります。

変圧器のB種接地抵抗と空調機のD種接地抵抗、そして人体の電気抵抗が作り出すループ回路を思い描きながら、それぞれの抵抗にかかる電圧の配分を見つめ直すと、感電を防ぐために設置される接地抵抗のバランス関係が見えてきます。

参考リンク

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