令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問131 解説 問13(a) 問13
問13(a) 変圧器によって高圧電路に結合されている低圧電路に施設された使用電圧100Vの金属製外箱を有する空調機がある。この変圧器のB種接地抵抗値及びその低圧電路に施設された空調機の金属製外箱のD種接地抵抗値に関して、次の(a)及び(b)の問に答えよ。ただし、次の条件によるものとする。(ア)変圧器の高圧側の電路の1線地絡電流は5Aで,B種接地工事の接地抵抗値は「電気設備技術基準の解釈」で許容されている最高限度の1/3に維持されている。(イ)変圧器の高圧側の電路と低圧側の電路との混触時に低圧電路の対地電圧が150Vを超えた場合に,0.8秒で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている。変圧器の低圧側に施されたB種接地工事の接地抵抗値[Ω]の値として,最も近いのは次のうちどれか。
- 10
- 20
- 30
- 40 ✓ 正答
- 50
解説
本問は、高圧電路に1秒以内に自動的に遮断する装置(0.8秒で遮断)が設けられていることから、B種接地抵抗値の最高限度が で決定され、1線地絡電流 5 A から得られる上限値 120 Ω の1/3である 40 Ω が維持されている接地抵抗値となるため、正答は選択肢「40」となります。
電気設備技術基準の解釈におけるB種接地工事の規定
高圧または特別高圧の電路と低圧電路が混触した際、低圧側の対地電圧が異常に上昇して接続された電気機器や人体に危険が及ぶのを防ぐために、変圧器の低圧側中性点(または1端子)にはB種接地工事を施します。このB種接地工事の接地抵抗値は、電気設備技術基準の解釈第17条(電気設備技術基準の解釈における接地工事の規定)によって定められています。
この規定における接地抵抗値の基本は、高圧側の1線地絡電流を [A] としたとき、低圧側の対地電圧を150 V以下に抑えるために [Ω] 以下とされています。しかし、高低圧の混触が発生した際に、自動的に電路を遮断する装置が設けられている場合は、異常電圧が発生している時間が短いため、制限が緩和されます。具体的には、遮断器の動作時間に応じて以下のように上限値が定められています。
- 遮断装置がない、または動作時間が2秒を超える場合: [Ω] 以下
- 1秒を超え2秒以内に自動遮断する装置がある場合: [Ω] 以下
- 1秒以内に自動遮断する装置がある場合: [Ω] 以下
これらの規定は、地絡電流が流れた際の接地抵抗での電圧降下(対地電圧の上昇)と、その電圧に人体や機器が耐えられる時間との関係性に基づいています。遮断時間が短ければ、より高い対地電圧(すなわち、より高い接地抵抗値)が許容される仕組みになっています。
B種接地工事の接地抵抗値の決定
1. 自動遮断装置の動作時間から適用する計算式を判別する
条件(イ)において「0.8秒で高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられている」と提示されています。これは「1秒以内」の動作時間に該当するため、電気設備技術基準の解釈で認められているB種接地工事の接地抵抗値の最高限度は、緩和規定が適用されて [Ω] となります。
2. 与えられた1線地絡電流から最高限度の抵抗値を算出する
条件(ア)より、高圧側の1線地絡電流 は 5 A です。これを1秒以内遮断時の最高限度の式に代入すると、接地抵抗の最高限度 は次のようになります。
3. 実際に維持されている接地抵抗値を求める
条件(ア)には、接地抵抗値が「最高限度の1/3に維持されている」とあります。先ほど求めた最高限度 120 Ω の1/3の値を計算します。
この計算結果により、変圧器の低圧側に施されたB種接地工事の接地抵抗値は 40 Ω と定まります。
遮断時間0.8秒という数値と、技術基準が定める時間ごとの上限式の分母の変化を重ね合わせてみると、事故時の安全を担保するために許容される抵抗値の仕組みが見えてきます。