第三種電気主任技術者試験 / 令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 / 各問題解説 / 問122
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令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問122 解説 問12(b) 問12

設問図

問12(b) 三相3線式の高圧電路に300kW, 遅れ力率0.6の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし、直列リアクトルSRのリアクタンスXL[Ω]は、三相コンデンサSCのリアクタンスXC[Ω]の6%とするとき、次の(a)及び(b)の問いに答えよ。ただし、高圧電路の線間電圧は6600Vとし、無効電力によって電圧は変動しないものとする。進相コンデンサ設備を負荷と並列に接続し、力率を遅れ0.6から遅れ0.8に改善した。このとき、この設備の三相コンデンサSCの容量の値[kvar]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 170
  2. 180
  3. 186 ✓ 正答
  4. 192
  5. 208

解説

遅れ力率0.6の300kW負荷を遅れ0.8に改善するために必要な設備全体の進相無効電力を求め、直列リアクトルによるコンデンサの端子電圧上昇(リアクタンス比6%)を考慮してコンデンサ単体にかかる無効電力を計算すると186kvarとなり、選択肢(3)が正答となります。

力率改善の原理と直列リアクトルによる影響

三相交流回路において、遅れ力率の負荷は遅れ無効電力を消費します。この負荷に対して並列に進相コンデンサを接続すると、コンデンサが進み無効電力を供給するため、電路全体から見た無効電力が減少して力率が改善します。

実際の高圧電路では、系統に含まれる高調波(特に第5高調波)による波形歪みの防止や、コンデンサ投入時の突入電流を抑制するため、進相コンデンサ(SC)に対して直列リアクトル(SR)を挿入します。日本産業規格(JIS)などでは、第5高調波に対応してコンデンサのリアクタンス XCX_C に対し、直列リアクトルのリアクタンス XLX_L を6%(p=0.06p = 0.06)に設定することが定められています。

直列リアクトルをコンデンサと直列に接続すると、回路全体の合成リアクタンスは XC−XL=XC(1−p)X_C - X_L = X_C(1 - p) となり、コンデンサ単体のリアクタンスよりも減少します。これにより、電路電圧が一定であっても回路を流れる電流が増加し、コンデンサの端子電圧は電路電圧よりも 1/(1−p)1 / (1 - p) 倍に上昇します。

その結果、コンデンサ本体が実際に負担する無効電力は、設備全体が電路に供給する無効電力よりも大きくなります。コンデンサの容量(定格容量)を決定する際は、この電圧上昇による無効電力の増加特性を考慮する必要があります。

力率改善に必要な無効電力とコンデンサ設備容量の算出

  1. 負荷の力率改善前後における無効電力の差から、設備全体に必要な進相無効電力を求めます。 負荷の有効電力 P=300 kWP = 300\text{ kW}、改善前の力率 cos⁡θ1=0.6\cos\theta_1 = 0.6、改善後の力率 cos⁡θ2=0.8\cos\theta_2 = 0.8 とします。 改善前の無効電力 Q1Q_1 は、 Q1=Ptan⁡θ1=P1−cos⁡2θ1cos⁡θ1=300×0.80.6=400 kvarQ_1 = P \tan\theta_1 = P \frac{\sqrt{1 - \cos^2\theta_1}}{\cos\theta_1} = 300 \times \frac{0.8}{0.6} = 400\text{ kvar} となります。 改善後の無効電力 Q2Q_2 は、 Q2=Ptan⁡θ2=P1−cos⁡2θ2cos⁡θ2=300×0.60.8=225 kvarQ_2 = P \tan\theta_2 = P \frac{\sqrt{1 - \cos^2\theta_2}}{\cos\theta_2} = 300 \times \frac{0.6}{0.8} = 225\text{ kvar} となります。 したがって、力率改善のために進相コンデンサ設備全体が電路に供給すべき進相無効電力 QallQ_{\text{all}} は、 Qall=Q1−Q2=400−225=175 kvarQ_{\text{all}} = Q_1 - Q_2 = 400 - 225 = 175\text{ kvar} です。

  2. 直列リアクトルによる電圧上昇効果を適用し、コンデンサ本体が負担する無効電力 QCQ_C を算出します。 等価Y結線における1相あたりの回路電流を II とすると、コンデンサ単体が負担する無効電力 QCQ_C は、 QC=3I2XCQ_C = 3 I^2 X_C であり、直列リアクトルを含めた設備全体が出力する無効電力 QallQ_{\text{all}} は、 Qall=3I2(XC−XL)Q_{\text{all}} = 3 I^2 (X_C - X_L) となります。 リアクタンスの比率が XL=0.06XCX_L = 0.06 X_C であるため、 Qall=3I2(XC−0.06XC)=3I2XC(1−0.06)=0.94QCQ_{\text{all}} = 3 I^2 (X_C - 0.06 X_C) = 3 I^2 X_C (1 - 0.06) = 0.94 Q_C という関係式が導かれます。 この関係式に設備全体に必要な無効電力 Qall=175 kvarQ_{\text{all}} = 175\text{ kvar} を代入すると、コンデンサ本体の容量 QCQ_C は、 QC=Qall0.94=1750.94≈186.17 kvarQ_C = \frac{Q_{\text{all}}}{0.94} = \frac{175}{0.94} \approx 186.17\text{ kvar} となり、選択肢の中で最も近い値は 186 kvar と判断できます。

コンデンサ設備に直列リアクトルを挿入した単線図の接続関係と、リアクタンスの比率がもたらす電圧上昇の効果を重ねてみると、コンデンサ本体に必要な設計容量の大きさがクリアに見えてきます。

参考リンク

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