令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問121 解説 問12(a) 問12
問12(a) 三相3線式の高圧電路に300kW, 遅れ力率0.6の三相負荷が接続されている。この負荷と並列に進相コンデンサ設備を接続して力率改善を行うものとする。進相コンデンサ設備は図に示すように直列リアクトル付三相コンデンサとし、直列リアクトルSRのリアクタンスXL[Ω]は、三相コンデンサSCのリアクタンスXC[Ω]の6%とするとき、次の(a)及び(b)の問いに答えよ。ただし、高圧電路の線間電圧は6600Vとし、無効電力によって電圧は変動しないものとする。進相コンデンサ設備を高圧電路に接続したときに三相コンデンサSCの端子電圧の値[V]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 6410
- 6795
- 6807
- 6995
- 7021 ✓ 正答
解説
線間電圧が6600Vの高圧電路において、直列リアクトルSRのリアクタンスが三相コンデンサSCのリアクタンスの6%であるとき、直列接続における分圧の法則により、コンデンサの端子電圧は電源電圧の1/(1 - 0.06)倍である約7021Vに上昇するため、正答は(5)となります。
直列リアクトル付進相コンデンサにおける電圧上昇の原理
進相コンデンサ設備に直列リアクトルを挿入すると、コンデンサの端子電圧が電源電圧よりも高くなる現象が知られています。この現象を理解するためには、交流回路におけるインピーダンスの合成と、分圧の法則を適用する必要があります。
回路は、電源に対して誘導性リアクタンス を持つ直列リアクトルSRと、容量性リアクタンス を持つ三相コンデンサSCが直列に接続された構成となっています。これら2つのリアクタンスに流れる電流を としたとき、直列リアクトルの端子電圧 とコンデンサの端子電圧 はそれぞれ、 、 と表されます。
誘導性リアクタンスと容量性リアクタンスは、電流に対する電圧の位相が互いに180度逆向きになります。そのため、直列に接続された全体の合成リアクタンスは、互いに打ち消し合う形になり、 となります。
回路全体に加わる電源電圧 は、位相のズレを考慮すると、コンデンサの電圧からリアクトルの電圧を差し引いた差分に等しくなり、次のような関係が成り立ちます。
この関係から、コンデンサの端子電圧 と電源電圧 の比を求めると、次のようになります。
分母である は常に1よりも小さくなるため、コンデンサの端子電圧 は必ず電源電圧 よりも高くなります。これが、直列リアクトルを接続したときにコンデンサの端子電圧が上昇する理由です。
進相コンデンサの端子電圧の算出
直列リアクトルSRのリアクタンス は、三相コンデンサSCのリアクタンス の6%であるため、 の関係が成り立ちます。
電圧上昇の原理から導かれた式に を代入すると、コンデンサの端子電圧 は電源電圧 を用いて と表されます。
電源電圧 に高圧電路の線間電圧である6600Vを代入すると、 V となり、選択肢(5)の7021Vが導かれます。
高圧電路の単線結線図において、直列リアクトルSRと三相コンデンサSCが直列に並んでいる様子に注目すると、コンデンサにかかる電圧が電源電圧よりも高くなる回路のつながりが見えてきます。