第三種電気主任技術者試験 / 令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 / 各問題解説 / 問80
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令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問80 解説 問8 問8

設問図

問8 次の文章は,「電気設備技術基準」における低圧の電路の絶縁性能に関する記述である。電気使用場所における使用電圧が低圧の電路の電線相互間及び(ア)と大地との間の絶縁抵抗は,開閉器又は(イ)で区切ることのできる電路ごとに,次の表の左欄に掲げる電路の使用電圧の区分に応じ,それぞれ同表の右欄に掲げる値以上でなければならない。表:電路の使用電圧の区分(左欄)と絶縁抵抗値(右欄)の表。区分: (ウ)V以下の場合、(エ)(接地式電路においては電線と大地との間の電圧,非接地式電路においては電線間の電圧をいう。以下同じ。)が150V以下の場合は0.1MΩ、その他の場合は0.2MΩ。(ウ)Vを超えるものは(オ)MΩ。上記の記述中の空白箇所(ア)~(オ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 電線,配線用遮断器,400,公称電圧,0.3
  2. (2) 電線路,漏電遮断器,400,公称電圧,0.3
  3. (3) 電路,過電流遮断器,300,対地電圧,0.4 ✓ 正答
  4. (4) 電線,過電流遮断器,300,最大使用電圧,0.4
  5. (5) 電路,配線用遮断器,400,対地電圧,0.4

解説

電気設備に関する技術基準を定める省令第22条に定められた低圧電路の絶縁性能の規定に基づき、電線相互間および電路と大地との間の絶縁抵抗は、開閉器または過電流遮断器で区切ることのできる電路ごとに対地電圧などの区分に応じて測定され、300V以下の区分(対地電圧150V以下は0.1MΩ、その他は0.2MΩ)および300Vを超える区分(0.4MΩ)が適用されるため、(ア)電路、(イ)過電流遮断器、(ウ)300、(エ)対地電圧、(オ)0.4の組み合わせである選択肢(3)が正答となります。

低圧電路の絶縁性能に関する法的な基準

電気を使用する場所における低圧電路は、感電や漏電による火災を防ぐために、高い絶縁性能を維持しなければなりません。この具体的な基準を定めているのが、電気設備に関する技術基準を定める省令第22条(低圧の電路の絶縁性能)です。

この規定を理解するうえで、基礎となるいくつかの概念があります。

まず、絶縁抵抗を測定する対象は、単なる電気の通り道である電線そのものだけでなく、接続されている機器や器具を含めた電気回路全体を指します。これを法的に「電路」と呼び、電線単体と区別しています。

次に、建物全体の絶縁抵抗を一度に測定することは実用的ではありません。そのため、分電盤などで系統ごとに回路を区切って測定します。この区切りの基準となるのが、回路の開閉を行う開閉器や、異常な電流を検知して回路を自動遮断する「過電流遮断器」です。

また、危険性を評価する電圧の基準として「対地電圧」が用いられます。対地電圧とは、接地された電路においては電線と大地との間の電圧を指し、接地されていない電路においては電線相互間の電圧を指します。例えば、日本の一般住宅で多く使われている単相3線式100/200Vの電路では、中性線が接地されているため、200Vの電線であっても大地との間の電圧(対地電圧)は100V(150V以下)に抑えられています。このように対地電圧が低く抑えられている電路は、感電時の危険性が比較的低いため、絶縁抵抗値の基準が0.1MΩ以上と緩やかに設定されています。

一方で、対地電圧が150Vを超える場合や、使用電圧が300Vを超えるような産業用の三相3線式電路などでは、より厳しい絶縁抵抗値が求められます。

低圧電路の絶縁性能を決定する各要素の選定

  1. 測定対象の範囲の判定 保安上、絶縁されていなければならないのは電線だけでなく、そこに接続された電気機器などを含めた電気の通路全体です。法律上、この電気を通じるための導体を「電路」と定義しているため、(ア)には「電路」が入ります。単なる材料としての「電線」や「電線路」(電線およびこれを支持し保蔵する工作物)は不適当です。

  2. 回路を分割する保安器具の特定 絶縁抵抗の測定は、点検やメンテナンスのしやすさを考慮して、系統ごとに区切って行います。この区切りの目印となるのは、分電盤等に設置されている安全装置である「過電流遮断器」や開閉器です。「配線用遮断器」は過電流遮断器の代表例ですが、省令の条文としてはより広い定義である「過電流遮断器」という言葉が使われているため、(イ)には「過電流遮断器」が入ります。

  3. 使用電圧の境界値の特定 低圧電路の絶縁抵抗の基準において、電路の使用電圧の区分となる境界値は「300」Vです。使用電圧が300V以下の電路と、300Vを超える電路に分類されるため、(ウ)には「300」が入ります。400Vは境界値ではありません。

  4. 危険性を評価する電圧定義の判定 括弧書きにある「接地式電路においては電線と大地との間の電圧、非接地式電路においては電線間の電圧」という説明は、電気設備に関する技術基準を定める省令における「対地電圧」の定義そのものです。したがって、(エ)には「対地電圧」が入ります。「公称電圧」は送配電系統の標準的な電圧を指し、「最大使用電圧」は通常の使用状態で加わる最大の電圧を指すため、この定義には当てはまりません。

  5. 高圧に近い低圧電路における基準値の特定 使用電圧が300Vを超える低圧電路(例えば、工場などで使われる400V級の動力回路など)は、感電や漏電時のエネルギーが大きいため、最も高い絶縁性能が要求されます。この区分に適用される最小の絶縁抵抗値は「0.4」MΩと定められているため、(オ)には「0.4」が入ります。

表の中にある150V以下という数値や、絶縁抵抗値の段階的な変化を電路の安全基準と重ね合わせてみると、配線設備に求められる絶縁性能の全体像が見えてきます。

参考リンク

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