令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問90 解説 問9 問9
問9 次の文章は,「電気設備技術基準の解釈」における配線器具の施設に関する記述の一部である。低圧用の配線器具は,次により施設すること。a) (ア) ように施設すること。ただし,取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所に施設する場合は,この限りでない。b) 湿気の多い場所又は水気のある場所に施設する場合は,防湿装置を施すこと。c) 配線器具に電線を接続する場合は,ねじ止めその他これと同等以上の効力のある方法により,堅ろうに,かつ,電気的に完全に接続するとともに,接続点に (イ) が加わらないようにすること。d) 屋外において電気機械器具に施設する開閉器,接続器,点滅器その他の器具は, (ウ) おそれがある場合には,これに堅ろうな防湿装置を施すこと。上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 充電部分が露出しない,張力,感電の
- (2) 取扱者以外の者が容易に開けることができない,異常電圧,損傷を受ける
- (3) 取扱者以外の者が容易に開けることができない,張力,感電の
- (4) 充電部分が露出しない,張力,損傷を受ける ✓ 正答
- (5) 取扱者以外の者が容易に開けることができない,異常電圧,感電の
解説
低圧用の配線器具の施設において、感電防止のための「充電部分が露出しない」こと、機械的断線の原因となる「張力」を接続点に加えないこと、および屋外施設における「損傷を受ける」おそれへの防護措置を定めた「電気設備技術基準の解釈」第167条の規定に照らし合わせることで、選択肢(4)が正答となります。
電気設備における保安原則と配線器具に求められる要件
電気設備を安全に運用するための基本ルールは、国が定める省令である「電気設備に関する技術基準を定める省令」に規定されています。その具体的な仕様を定めた「電気設備技術基準の解釈」において、最も重視される考え方の一つが、人体への危害や物件への損傷を未然に防止する「保安原則」です。
配線器具の施設にあたっては、この保安原則に基づき、電気的な安全性と機械的な堅ろう性の両面から基準が設けられています。
電気的な安全性を確保するための基本は、人が容易に電線などの生きた電気の通り道に触れられないようにすることです。この電気の通り道を充電部分と呼びます。一般の人が自由に出入りする場所に設置される器具については、不意の接触による感電を防ぐために、充電部分が露出しない構造にすることが求められます。
機械的な安全性を確保するためには、電気の接続部に余計な力が加わらないように考慮する必要があります。配線器具に電線を接続する場合、ねじ止めなどで固定しますが、この接続部は一本のつながった電線に比べて引っ張る力に対して構造的に脆弱です。この接続部分に電線の自重や引っ張りによる「張力」が加わり続けると、接続が徐々に緩み、接触抵抗が増加して異常発熱や発火、あるいは断線といった重大なトラブルに直結します。そのため、物理的な応力が接続点に直接伝わらないように処理することが規定されています。
また、電線や配線器具が受ける環境の影響についても考慮しなければなりません。特に屋外は、雨風、日光による紫外線、飛来物、あるいは人や車両の衝突など、物理的なダメージを受ける要因が屋内に比べて格段に多く存在します。このような厳しい環境において、器具が物理的に破壊されて充電部が露出したり、ショート(短絡)を起こしたりするのを防ぐために、損傷を受けるおそれがある場所では相応の防護措置を施すことが義務付けられています。
電気設備技術基準の解釈第167条に基づく判断
空欄(ア)の判断 低圧用の配線器具は、通常の使用状態で人間が触れて感電することを防ぐ必要があります。そのため、器具の基本原則として「充電部分が露出しない」ように施設することが求められます。ただし書きとして、一般の人が出入りできない「取扱者以外の者が出入りできないように措置した場所」であるならば、感電のリスクが極めて低くなるため、充電部が露出した状態の器具であっても施設が認められます。この例外規定の存在からも、通常時に要求される条件は充電部分が露出しない状態であることが導かれます。
空欄(イ)の判断 電線と器具を接続する部分は、電気的・機械的に最もストレスを受けやすい箇所です。ねじ等で強固に固定したとしても、配線自体が引っ張られることによる「張力」がこの接続点に加わってしまうと、金属の経年劣化や緩みによる接触不良を招きます。したがって、電線を支持点等でしっかりと固定し、接続点そのものには引っ張る力が加わらないように施設する必要があります。
空欄(ウ)の判断 屋外において電気機械器具に施設する開閉器や接続器は、厳しい気象条件や外部からの物理的な衝撃にさらされます。このように器具が外部からの力によって壊される、すなわち「損傷を受ける」おそれがある場所においては、器具を包み込むような堅ろうな防護装置を施し、機能や安全性を維持させることが定められています。
配線器具を取り巻く「湿気」や「水気」、「屋外」といった周囲の環境条件と、それに伴って生じる電気的・機械的な不具合の要因を突き合わせてみると、感電や破損から電気設備を守るための具体的な防護方法の必要性がはっきりと浮かび上がってきます。