令和6年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問70 解説 問7 問7
問7 配電線路の電圧維持に有効な対策として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 負荷時タップ切換変圧器や負荷時電圧調整器で変電所の送り出し電圧を調整する。
- 力率改善用コンデンサを設置する。
- 太い配電線に張り替える。
- 配電線のこう長を延長する。 ✓ 正答
- 柱上変圧器を負荷の中心に設置する。
解説
配電線のこう長を延長することは、配電線のインピーダンスを増大させ、末端での電圧降下を助長して電圧維持を困難にするため、有効な対策ではありません。
配電線路における電圧降下の仕組み
配電線路において、供給地点から需要家までの間には電線そのものが持つ電気的な抵抗やリアクタンスが存在します。電気を送り出すと、このインピーダンスによって電圧降下が発生します。この電圧降下の大きさは、オームの法則および回路インピーダンスの関係から、配電線の長さが長いほど、また配電線のインピーダンスが大きいほど顕著になります。
配電線路を流れる電流を 、配電線の抵抗を 、リアクタンスを 、力率角を とすると、受電端における電圧降下 は近似的に次の式で表されます。
この式から分かる通り、電圧降下を抑えるためには、電流 を減らすか、線路の定数である や を小さくすることが物理的な解決策となります。
配電線における電圧維持の判断ステップ
- 配電線のこう長を延長する選択肢を評価する。こう長が長くなることは、線路全体の抵抗 およびリアクタンス の増大を意味する。結果として、上の電圧降下式における各項の値が増加し、末端電圧がさらに低下するため、電圧維持の対策としては不適切である。
- 太い配電線に張り替える選択肢を評価する。電線を太くすると断面積が大きくなり、電気抵抗 が減少する。これにより電圧降下分が小さくなり、末端電圧の低下を改善できる。
- 力率改善用コンデンサを設置する選択肢を評価する。負荷の力率を改善すると、無効電流が減少する。上の式の が小さくなるため、電圧降下が抑制され、電圧維持に有効に作用する。
- 柱上変圧器を負荷の中心に設置する選択肢を評価する。負荷の中心に設置することで、低圧配電線路の距離を短縮でき、低圧側での電圧降下を最小限に抑えることができる。
配電線路の構成図を頭に描きながら、末端までの電気的な道のりが遠くなる様子と、電線の太さや負荷の位置が電圧に与える影響を重ねてみると、電圧降下の度合いが見えてきます。