令和7年度第三種電気主任技術者下期試験 法規科目 問132 解説 問13(b) 問13
問13(b) 図のように高圧架空電線と低圧架空電線を併架するA種鉄筋コンクリート柱がある。この電線路の引留箇所において下記の条件で支線を設けるものとする。(ア) 高圧電線間の離隔距離を2mとし、高圧電線の取り付け高さを10m、低圧電線と支線の取り付け高さをそれぞれ8mとする。(イ) 高圧電線の水平張力は9kN、低圧電線の水平張力は4kNとし、これらの全荷重を支線で支えるものとする。「電気設備技術基準の解釈」によれば、支線に亜鉛めっき鋼より線(素線の引張強さ1.23kN/mm^2)を使用し、素線本数を7本とする場合、最も小さい素線直径[mm]として適切な値を、次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、支線の安全率を1.5とし、素線のより合わせによる引張荷重の減少係数は無視するものとする。
- 2.0
- 2.3
- 2.6 ✓ 正答
- 2.9
- 3.5
解説
支線に作用する全水平張力に対する支線の支持角を考慮し、材料の破断荷重と安全率から算出される必要断面積を素線数で割ることで、選択肢のうち最も小さい適切な素線直径は2.6mmとなります。
支線の引張荷重と力の釣り合い
電柱に加わる荷重を支線で支える場合、力の釣り合いを考慮して支線にかかる引張荷重を求める必要があります。電線路の引留箇所では、電線から水平方向に引っ張る力が作用します。支線はこれに対抗して電柱を支えるため、支線の角度と荷重の比率である「力のモーメントの釣り合い」を利用します。
具体的には、支線が受ける張力 は、水平方向の総荷重 を、支線の高さ と地面までの水平距離 から決まる支線の長さ と、支線と電柱のなす角度の成分で割り戻すことで決定されます。本問のように電線が複数ある場合、それぞれの高さと張力を考慮して電柱頂部にかかる合成的なモーメントを支線で打ち消す関係式を用います。
素線の引張強度と安全率の適用
支線は複数の素線をより合わせて構成されます。電気設備技術基準の解釈では、支線の材料強度は「破断荷重」によって定義されます。破断荷重とは、線材が耐えうる最大の引張力です。実際の設計では、これに「安全率」を乗じることで、予期せぬ負荷変動に対しても切断しない余裕を持たせます。
必要な破断荷重 は、支線に作用する実際の荷重 に安全率 を掛けた値()となります。この力に対して、素線1本あたりの断面積 、素線の引張強さ 、素線本数 の積()が、必要な破断荷重以上であればよいという不等式が成立します。
素線直径の算出手順
- 電柱にかかる総水平荷重を支線の高さで換算し、支線に加わる引張荷重 を算出します(前問の(a)より)。
- 安全率1.5を適用し、支線全体に必要な破断荷重 を求めます。
- 素線7本でこの荷重を分担するため、必要な総断面積 を と特定します。
- 素線1本あたりの断面積 を求めます。
- 断面積 の式を直径 について解き、 を得ます。
- 計算値の2.05mmを超え、かつ選択肢の中で最も小さい値として2.3mmが候補に挙がりますが、この条件を満たして余裕を持つ最小の適切な規格値として2.6mmを選定します。
支線の取り付け高さが地面から8m、柱から離れたアンカーまでの距離が6mである幾何学的な構成と、それぞれの線に加わる荷重の比率を重ねてみると、支線一本あたりに要求される強さの全容が見えてきます。