令和7年度第三種電気主任技術者下期試験 電力科目 問70 解説 問7 問7
問7 6.6 kV 非接地方式配電線及び高圧受電設備の保護に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 高圧受電設備における地絡保護装置は,零相変流器により零相電流を検出し,動作させる地絡過電流継電器や,接地用変圧器により零相電圧を検出して零相電流と零相電圧を組み合わせて動作させる地絡方向継電器が用いられる。
- (2) 配電線の保護方式として,故障遮断による供給支障を極力少なくする目的で,故障遮断後に電源側から健全な区間を選別して再送電する時限順送式故障区間分離方式がある。
- (3) 高圧受電設備における地絡保護装置において,地絡過電流継電器は無方向性のため,構内の高圧ケーブルのこう長が短い場合は外部事故時に大きな零相電流が流れて不要動作することがある。 ✓ 正答
- (4) 地絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に地絡方向継電器と地絡過電圧継電器を組み合わせて設置される。
- (5) 短絡事故の保護のため,配電用変電所において各配電線に過電流継電器が設置される。
解説
高圧受電設備において、地絡過電流継電器は無方向性の装置であるため、構内の高圧ケーブルのこう長が非常に長い場合、外部地絡事故時に流れる大きな零相電流によって不要動作する可能性があり、選択肢(3)の記述は誤りです。
非接地方式における地絡事故と零相電流
6.6 kV配電線のような非接地方式では、地絡事故が発生すると、健全な相の対地静電容量を通じて地絡電流が流れます。この電流は、配電線全体の対地静電容量の大きさに比例します。
配電系統において、零相電流(地絡電流)は、以下の要素で決まります。
- 配電線のこう長が長い:対地静電容量が大きくなるため、地絡事故時に流れる零相電流は大きくなります。
- 配電線のこう長が短い:対地静電容量が小さいため、地絡事故時に流れる零相電流は小さくなります。
地絡保護装置の動作原理
高圧受電設備で使用される保護装置には、以下の特性があります。
- 地絡過電流継電器(GR):零相変流器(ZCT)で検出した零相電流が整定値を超えた場合に動作する「無方向性」の継電器です。事故が発生した場所が構内か構外かを判別しません。
- 地絡方向継電器(DGR):零相電圧と零相電流の位相関係を判別する「方向性」の継電器です。事故電流の流れる向きを判断できるため、構外事故と構内事故を確実に見分けることができます。
誤りの判断プロセス
- 選択肢(3)にある「構内の高圧ケーブルのこう長が短い」という条件に着目します。この場合、対地静電容量は小さいため、構外の事故時に流れる零相電流も小さくなります。結果として、地絡過電流継電器が不要動作する可能性は極めて低くなります。
- 逆に、こう長が長い場合は、構外の事故であっても系統全体の大きな零相電流が流入するため、無方向性の地絡過電流継電器は構内事故と誤認して不要動作しやすくなります。
- 選択肢(3)は「こう長が短い場合」に「不要動作することがある」と述べており、性質上の因果関係が逆転しているため不適切と判断します。
配電線路のこう長や対地静電容量の大きさと、継電器に流入する零相電流の量を重ねてみると、各継電器が不要動作を起こす条件が見えてきます。