令和7年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問130 解説 問13 問13
問13 水晶振動子と水晶発振回路に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 水晶振動子は,水晶片を二つの電極で挟んだ素子である。
- (2) 水晶振動子の電気的な等価回路には,直列共振周波数と並列共振周波数の差が非常に小さいという特徴がある。
- (3) 水晶発振回路は,LC発振回路のコンデンサを水晶振動子に置き換えたものである。 ✓ 正答
- (4) 水晶発振回路は,LC発振回路と比較して周波数変動が非常に小さい。
- (5) 水晶発振回路を用いた周波数シンセサイザは,無線送信機の周波数源として利用されている。
解説
水晶発振回路において、水晶振動子はLC発振回路のインダクタ(コイル)と置き換えて機能させる素子であるため、コンデンサを置き換えたとする選択肢(3)の記述は誤りです。
水晶振動子の特性と圧電効果
水晶振動子は、水晶(結晶)の板を二つの電極で挟んだ構造をしており、圧電効果という物理的な性質を利用しています。圧電効果とは、結晶に電圧を加えると歪みが生じ、逆に結晶に機械的な歪みを与えると電圧が発生する現象です。
この素子を電気回路に組み込むと、その機械的な振動と電気的な振動が結合し、極めて高い「Q値(鋭さ)」を持つ共振回路として動作します。電気的な等価回路は、コイル(L)、コンデンサ(C)、抵抗(R)を組み合わせた回路で表されますが、その特性には直列共振周波数と並列共振周波数が非常に近い位置に存在するという顕著な特徴があります。この狭い周波数範囲において急峻なインピーダンスの変化を示すため、特定の周波数で極めて安定した発振を得ることができます。
水晶発振回路の構成と動作
LC発振回路は、コイル(L)とコンデンサ(C)の並列接続によって共振周波数を決定する回路ですが、温度変化や経年変化によって周囲の静電容量やインダクタンスが変動しやすく、発振周波数が不安定になるという欠点があります。
一方で水晶発振回路は、この不安定なインダクタ(コイル)の代わりに水晶振動子を組み込みます。水晶振動子は物理的な形状で共振周波数が決定されるため、周囲の環境変化に強く、非常に高い周波数安定度を誇ります。この高い安定性を利用して、無線通信機の基準となる正確な信号源(周波数シンセサイザなど)として幅広く活用されています。
選択肢(3)の検討において、この回路構成の核心部分は水晶振動子をコイルの代わりとして機能させることにあります。コンデンサを置換対象とする記述は、水晶振動子が持つ「誘導性リアクタンス」としての役割を無視した誤りとなります。
水晶振動子の端子間における電気的な振る舞いと、LC発振回路のインダクタンスが担う位相制御の関係を重ねてみると、水晶振動子が回路中で果たすべき役割の形が見えてきます。