令和7年度第三種電気主任技術者下期試験 理論科目 問182 解説 問18(b) 問18
問18(b) 図3の三つの回路はいずれもマルチバイブレータの一種であり、これらの回路においてNAND ICの電源及び接地端子は省略している。同図(=),(ホ),(ヘ)の入力の数がそれぞれ0,1,2であることに注意して、これら三つの回路と次の二つの性質を正しく対応づけたものの組合せとして、正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。性質I:出力端子からパルスが連続的に発生し、ディジタル回路の中で発振器として用いることができる。性質II:「0」や「1」を記憶する機能をもち、フリップフロップの構成にも用いられる。
- 性質I:(=),性質II:(ホ)
- 性質I:(=),性質II:(ヘ) ✓ 正答
- 性質I:(ホ),性質II:(=)
- 性質I:(ホ),性質II:(ヘ)
- 性質I:(ヘ),性質II:(ホ)
解説
図3の(=)は外部からの入力なしで発振し続ける無安定マルチバイブレータであるため性質Iに該当し、図3の(ヘ)は二つの入力に応じて状態を保持するRSフリップフロップであるため性質IIに該当します。
マルチバイブレータとフリップフロップの動作原理
マルチバイブレータとは、トランジスタやICなどのスイッチング素子を組み合わせ、その動作状態によって分類される回路です。デジタル回路の基本構成要素として非常に重要です。
- 無安定マルチバイブレータ:外部からの入力信号を必要とせず、回路内のコンデンサや抵抗による充放電時定数によって、二つの状態間を自動的かつ連続的に遷移し続けます。出力にはパルス波形が得られるため、発振器として利用されます。
- 単安定マルチバイブレータ:一つの安定状態を持ち、外部からトリガ信号が入力されると、一定時間だけ別の不安定状態へ移行した後、自動的に元の安定状態へ戻ります。パルス幅の調整やタイマー回路などに用いられます。
- 双安定マルチバイブレータ(フリップフロップ):二つの安定状態を持ち、外部からの入力信号によって状態が反転し、その状態を保持し続けます。これはデジタル情報の記憶機能そのものであり、RSフリップフロップなどが代表例です。
回路構成と性質の照合
図3に示された各回路の接続関係から、その性質を以下のように判別します。
- 図3の(=)は、出力から入力へコンデンサと抵抗を介してフィードバックがかかっており、外部からの信号入力端子がありません。この構成は、蓄えられた電荷の充放電によって状態が交互に入れ替わり続ける「無安定」の動作を示すため、性質Iの発振器としての機能を有します。
- 図3の(ホ)は、外部から信号を入力する端子を持ち、入力パルスによって出力状態が一時的に変化する「単安定」の構成をとっています。
- 図3の(ヘ)は、二つのNANDゲートの出力を互いに相手の入力へ戻す交差結合回路です。これは、二つの入力端子(入力1、入力2)に対して出力が「0」や「1」の値を保持し、フリップフロップとして動作する「双安定」の構成であるため、性質IIの記憶機能を有します。
各回路の配線をたどり、信号の流れと入力端子の有無を確認してみると、それぞれの回路が持つ固有の動作モードが浮かび上がってきます。