令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問10 解説 問1 問1
問1 次の文章は,電気の需給状況が悪化した場合における電気事業法に基づく対応に関する記述である。電力広域的運営推進機関(OCCTO)は,会員である小売電気事業者,一般送配電事業者,配電事業者又は特定送配電事業者の電気の需給の状況が悪化し,又は悪化するおそれがある場合において,必要と認めるときは,当該電気の需給の状況を改善するために,電力広域的運営推進機関の(ア)で定めるところにより,(イ)に対し,相互に電気の供給をすることや電気工作物を共用することなどの措置を取るように指示することができる。また,経済産業大臣は,災害等により電気の安定供給の確保に支障が生じたり,生じるおそれがある場合において,公共の利益を確保するために特に必要があり,かつ適切であると認めるときは(ウ)に対し,電気の供給を他のエリアに行うことなど電気の安定供給の確保を図るために必要な措置をとることを命ずることができる。上記の記述中の空白箇所(ア)~(ウ)に当てはまる組合せとして,適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- (1) 保安規程 会員 電気事業者
- (2) 保安規程 事業者 一般送配電事業者
- (3) 送配電等業務指針 特定事業者 特定自家用電気工作物設置者
- (4) 業務規程 事業者 特定自家用電気工作物設置者
- (5) 業務規程 会員 電気事業者 ✓ 正答
解説
電気事業法に基づき、電力広域的運営推進機関の業務規程に従って会員に指示を行う権限と、経済産業大臣が電気事業者に対して供給を命じる権限を照らし合わせると、正答は(5)となります。
電力広域的運営推進機関の権限
電力広域的運営推進機関(以下、広域機関)は、電気の安定供給を確保するための広域的な運営を推進する機関であり、その運営ルールは電気事業法第28条の45に基づき「業務規程」として定められます。広域機関は、需給状況が悪化した際、会員(小売電気事業者、一般送配電事業者など)に対し、相互の電気供給や工作物の共用を指示することが可能です。この指示の根拠となるのが広域機関の「業務規程」であり、指示を受ける対象は法的に広域機関に加入している「会員」となります。
経済産業大臣による供給命令
電気の安定供給が災害等で脅かされる緊急時には、経済産業大臣による強い権限が発動されます。電気事業法第28条の46に基づき、経済産業大臣は公共の利益を確保するために特に必要があると認めるとき、電気事業者に対し、他のエリアへの電気の供給や、供給能力の増強などの必要な措置をとるよう命じることができます。ここでの対象は、広域機関の会員のみならず、より広い概念である「電気事業者」が対象となります。
判断の手順
- 空白(ア)には、広域機関が定める運営のルールが入るため、「業務規程」を特定します。「保安規程」は電気工作物の安全を確保するための社内規則であり、需給運用の根拠ではありません。
- 空白(イ)には、広域機関が指示を与える相手が入ります。広域機関の運営は「会員」の協力によって成り立つため、指示の相手方も「会員」となります。
- 空白(ウ)には、経済産業大臣が命令を発する対象が入ります。公益上の緊急措置を広く命じる必要があるため、より包括的な「電気事業者」が妥当となります。
業務規程という内部ルールと、電気事業者全体を統括する大臣の権限という二つの軸を重ねてみると、電気の安定供給を守るための役割分担が見えてきます。