令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問20 解説 問2 問2
問2 受電電圧6.6kVの自家用電気工作物を設置する事業場における次の事例のうち,電気関係報告規則に基づいて,設置者が所轄産業保安監督部長に対し報告すべき事故に該当しないものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 電圧100Vの屋内配線が過負荷により高熱となり,電気火災が発生して建物が半焼した。
- 落雷により高圧負荷開閉器が焼損し,一般送配電事業者に供給支障事故を発生させた。
- 高圧の断路器を誤って操作した電気工事作業者が,発生したアーク熱により火傷を負い,病院に入院した。
- 高圧の受電用真空遮断器が誤操作により損傷し,操作不能になった。 ✓ 正答
- 構内第1号柱が折損して構外に隣接する需要家の建物を損傷させた。
解説
高圧の受電用真空遮断器が誤操作により損傷し操作不能となった事例は、電気関係報告規則で定められた「電気工作物の損壊」による報告義務の要件を満たさないため、産業保安監督部長への報告対象となる事故に該当しません。
電気関係報告規則における事故報告の考え方
電気関係報告規則第3条では、電気工作物の設置者が産業保安監督部長へ報告すべき事故の範囲が定められています。この規則の目的は、電気事故が発生した際にその規模や影響を把握し、再発防止に役立てることです。
報告の対象となる主要な区分は「電気火災事故」「電気工作物の損壊事故」「供給支障事故」「死傷事故」の4つです。これらは、単に設備が壊れたかどうかだけでなく、社会的影響(供給への支障)や人体への被害、あるいは火災のような重大な事態が発生したかどうかが判断の基準となります。特に設備損壊に関しては、供給支障を伴うものや、重大な波及事故を招く恐れのある一定以上の規模のものが対象とされています。
報告義務の判断手順
各選択肢が報告対象となるか否かを、電気関係報告規則の要件に照らして判断します。
電圧100Vの屋内配線での電気火災により建物が半焼した事例は、「電気火災事故」として報告対象です。電気工作物に起因する火災で、焼損の程度が所定の基準(建物の一部焼損など)を超えるものは報告が義務付けられています。
落雷により高圧負荷開閉器が焼損し、一般送配電事業者の系統に供給支障を発生させた事例は、「供給支障事故」および「電気工作物の損壊事故」の両側面から報告対象です。他者の電気供給に悪影響を及ぼした事実は重く扱われます。
高圧断路器の誤操作で作業者がアーク熱により負傷し入院した事例は、「死傷事故」に該当します。電気工作物の取り扱いに起因して人が死亡したり、負傷して病院に入院したりした場合は、その影響の重大さから速やかな報告が求められます。
高圧の受電用真空遮断器が誤操作により単独で損傷し操作不能となった事例は、報告対象外です。電気工作物の損壊が「電気の供給を停止させない」かつ「他の工作物への被害がない」個別の機器の損傷にとどまる場合、規則で定められた報告義務の要件(供給支障事故や特定の設備損壊)には該当しません。
構内第1号柱の折損により構外の建物が損傷した事例は、「電気工作物の損壊事故」に該当します。自社の工作物の損壊が構外の第三者の財産に被害を及ぼした場合は、重大な事故として報告が必要となります。
電気工作物の個別の損傷がどのような結果を招いたのか、火災・供給支障・死傷・第三者被害という観点から事例を整理してみると、報告すべき境界線が見えてきます。