令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 法規科目 問111 解説 問11(a) 問11
問11(a) 有効落差90m,最大使用水量が渇水量(1年のうち355日は確保できる水量)の2倍,水車及び発電機の総合効率80%の流込式水力発電所がある。この発電所が利用している河川の流量Q[m^3/s]が図のような年間流量曲線(日数dが90日以上の部分は,Q=-0.05d+25.5で表される。)であるとき、この発電所の年間可能発電電力量の値[GW・h]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。ただし、水の密度を1000kg/m^3,重力加速度を9.8m/s^2とする。
- 47.9
- 72.8
- 84.3 ✓ 正答
- 94.5
- 97.4
解説
渇水流量に対応する流量を特定し、その2倍を最大使用水量として年間流量曲線から発電可能日数を算出することで、年間可能発電電力量は84.3 GW・hとなります。
水力発電の出力と発電電力量
水力発電所が取り出すことのできる電力 [W] は、水の持つ位置エネルギーを変換する過程において、以下の式で表されます。
ここで、 は重力加速度 [m/s]、 は使用水量 [m/s]、 は有効落差 [m]、 は総合効率を指します。年間可能発電電力量 [J] を求めるには、この出力 を時間 [s] で積分する必要があります。日ごとの流量が一定とみなせる場合、年間発電電力量は以下の式で計算可能です。
このとき、 の単位を [GW・h] に換算するために、 で除算する作業が必要となります。
年間可能発電電力量の算出プロセス
以下のステップに従い、年間流量曲線上の数値を具体的に当てはめていきます。
最大使用水量の決定 渇水量とは年間で355日間確保できる流量であり、与えられた式 に を代入すると [m/s] となります。最大使用水量はその2倍であるため、 [m/s] となります。
発電可能日数の特定 最大使用水量 [m/s] を超える流量が利用できる日数を求めます。 を解くと となり、年間200日間は最大使用水量 [m/s] で発電できることがわかります。
年間総電力量の積分 年間の発電電力量は、流量が最大値で固定される期間と、流量が減少していく期間に分けて積分します。
- の期間: [kW]。この期間の電力量は [kW・h]。
- の期間:流量は で変化します。この期間の平均流量は [m/s] です。電力量は [kW・h]。
これらを合計すると、 [kW・h] となり、単位を揃えると約 84.3 [GW・h] が導かれます。
流量曲線上にプロットされた渇水時の点から、右下へ向かって伸びる線の傾きを読み取ってみると、日数の経過とともに発電可能なエネルギーがどのように減少していくかが浮かび上がってきます。