令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問172 解説 問17(b) 問17
問17(b)
定格容量750kV・Aの三相変圧器に遅れ力率0.9の三相負荷500kWが接続されている。この三相変圧器に新たに遅れ力率0.8の三相負荷200kWを接続する場合、この変圧器の過負荷運転を回避するために、変圧器の二次側に設置が必要な最小の電力用コンデンサ容量の値[kvar]として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
- 70
- 256
- 203
- 123 ✓ 正答
- 50
解説
変圧器の定格容量750kV・Aに対し、合計有効電力700kWを供給する際の無効電力を定格容量以下に抑制するため、現在392.18kvarである合計無効電力を269.26kvarまで低減する123kvarの電力用コンデンサが必要です。
電力と力率の関係
交流回路において、有効電力 P [kW]、無効電力 Q [kvar]、皮相電力 S [kV・A]の間には、直角三角形の三辺の関係(ピタゴラスの定理)が成り立ちます。
S=P2+Q2
変圧器には定格容量が定められており、接続する負荷の皮相電力 S がこの定格容量を超えると過負荷状態となります。過負荷を回避するには、常に S≤Srated を満たす必要があります。ここで無効電力 Q は Q=Ptanθ で表されます。力率 cosθ が与えられている場合、tanθ=cosθ1−cos2θ を用いて計算できます。
過負荷回避のためのコンデンサ容量の算出
変圧器に接続された負荷の合計有効電力 Ptotal と、その際の無効電力 Qtotal を求め、それを定格容量 Srated 以内に収めるための手順を追います。
合計有効電力と現在の合計無効電力の算出
最初の負荷 P1=500 [kW]、力率 cosθ1=0.9 の無効電力は Q1=500×0.91−0.92≈242.16 [kvar] です。
追加の負荷 P2=200 [kW]、力率 cosθ2=0.8 の無効電力は Q2=200×0.81−0.82=200×0.80.6=150.02 [kvar] です。
合計有効電力 Ptotal=500+200=700 [kW]、合計無効電力 Qtotal=242.16+150.02=392.18 [kvar] となります。
許容される無効電力の上限の特定
変圧器の定格容量 Srated=750 [kV・A] を超えないための限界無効電力 Qlimit を求めます。
Qlimit=Srated2−Ptotal2=7502−7002=562500−490000=72500≈269.26 [kvar]
これは、変圧器の定格範囲内で供給可能な最大無効電力です。
必要なコンデンサ容量の決定
現在の合計無効電力 Qtotal から許容上限 Qlimit を差し引くことで、電力用コンデンサによって打ち消すべき無効電力 Qc が得られます。
Qc=Qtotal−Qlimit=392.18−269.26=122.92 [kvar]
この値に最も近い選択肢は123kvarです。
変圧器の定格容量と、力率改善によって変化する無効電力のベクトル図を重ねてみると、供給可能な有効電力の範囲と、コンデンサがもたらす無効電力の調整量との関係が見えてきます。
参考リンク
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