第三種電気主任技術者試験 / 令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問60
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令和7年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問60 解説 問6 問6

設問図

問6 ガス絶縁開閉装置に関する記述として,誤っているものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) 絶縁性能の高いガスを用いることで装置を小形化でき,気中絶縁の装置を用いた変電所と比較して,変電所の体積と面積を大幅に縮小できる。
  2. (2) 我が国では,ガス絶縁開閉装置の保守や廃棄の際,絶縁ガスの大部分は回収されている。
  3. (3) ガス絶縁開閉装置の絶縁ガスは,大気圧以下のSF6ガスである。 ✓ 正答
  4. (4) ガス絶縁開閉装置の金属容器内部に,金属異物が混入すると,絶縁性能が低下することがあるため,製造時や据え付け時には,金属異物が混入しないよう,細心の注意が払われる。
  5. (5) ガス絶縁開閉装置の充電部を支持するスペーサにはエポキシ等の樹脂が用いられる。

解説

ガス絶縁開閉装置(GIS)の絶縁ガスには、高い絶縁性能を確保するために大気圧よりも高い圧力(数気圧程度)のSF6ガスが封入されているため、「大気圧以下」とする選択肢(3)の記述は誤りです。

ガス絶縁開閉装置(GIS)と絶縁ガスの特性

ガス絶縁開閉装置は、六フッ化硫黄(SF6)ガスを金属容器内に封入し、その高い絶縁性能を利用して機器をコンパクトに収めた開閉装置です。SF6ガスは空気と比較して数倍以上の絶縁耐力を持ち、さらにガスの圧力を高くすることで、より強力な絶縁性能を発揮する性質があります。

この高い絶縁耐力はパッシェンの法則によって説明されます。パッシェンの法則とは、気体の絶縁破壊電圧が、気体の圧力と放電極間の距離の積の関数として表されるという法則です。この法則により、ガス圧力を高めることは、同じ距離であっても絶縁破壊を起こしにくくすること、つまり絶縁性能を向上させることと等価になります。GISではこの原理を活用し、金属容器内の圧力を高めることで、極めて小型かつ高い信頼性を持つ絶縁環境を構築しています。

ガス絶縁開閉装置を構成する各要素の役割

(1) GISは空気絶縁と比較して絶縁性能に優れたSF6ガスを用いるため、機器間の距離を大幅に短縮でき、変電所全体の体積や面積を縮小可能です。

(2) SF6ガスは地球温暖化係数が非常に高い温室効果ガスであるため、保守点検や廃止の際には環境負荷を低減するために、法規制や業界自主基準に基づいて適切に回収・再生・再利用が行われています。

(3) 絶縁性能はガス圧力に依存するため、GISの内部は常に大気圧よりも高い圧力(正圧)に保たれています。「大気圧以下」とすると、外部から空気が混入するリスクがあるだけでなく、絶縁性能が極めて低くなり、実用上の機能を満たせません。

(4) 金属容器内部に導電性の金属異物が混入すると、その異物に電界が集中し、コロナ放電や沿面放電の起点となります。これが絶縁破壊へと発展する危険があるため、製品の製造や現場での組み立て時には、極めて高度な清掃環境が維持されます。

(5) 充電部を保持するスペーサは、気密を保ちつつ充電部を金属容器から絶縁・支持する重要な部品です。これには高い機械的強度と絶縁性能を併せ持つエポキシ樹脂が広く使用されています。

金属容器の中に封入されたSF6ガスの圧力と、スペーサによって支えられた導体の配置を想像してみると、なぜGISがコンパクトに設計できるのかという設計思想が見えてきます。

参考リンク

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