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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 機械科目 問182 解説 問18(b)

設問図

(b) 論理式 $(\dot{X} + Y + Z) \cdot (\dot{X} + \bar{Y} + Z)$ を和積形式で簡単化したものは次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) $(X + Z) \cdot (\bar{Y} + Z)$
  2. (2) $(\dot{X} + Y) \cdot (\bar{X} + Z)$
  3. (3) $(X + Y) \cdot (\bar{Y} + Z)$
  4. (4) $(X + Z) \cdot (Y + Z)$
  5. (5) $(\dot{X} + Y) \cdot (\dot{X} + Z)$ ✓ 正答

解説

与えられた論理式 (X+Y+Z)⋅(X+Yˉ+Z)⋅(Xˉ+Y+Z)(X+Y+Z) \cdot (X+\bar{Y}+Z) \cdot (\bar{X}+Y+Z) に対し、ブール代数の分配法則と相補則を段階的に適用して整理すると、最も簡単化された和積形式は (X+Z)⋅(Y+Z)(X+Z) \cdot (Y+Z) となり、これが正答を導く式となります。

論理式の簡単化における重要な法則

論理回路やデジタル電気回路の設計で用いられるブール代数(論理代数)には、通常の代数計算と非常によく似た法則が成り立ちますが、一部にブール代数特有の強力な公式が存在します。本問のような和積形式(論理和の積)を効率的に簡単化するためには、以下の2つの法則を正しく理解し、適用する必要があります。

分配法則

ブール代数における分配法則には、乗算(論理積)に対する加算(論理和)の分配だけでなく、その逆も成り立ちます。 A+(B⋅C)=(A+B)⋅(A+C)A + (B \cdot C) = (A + B) \cdot (A + C)

この公式は、共通の論理和の項(この場合は AA)を持つ2つの括弧の積を、1つの簡潔な形にまとめるために極めて重要です。この法則を右辺から左辺の方向へ適用することで、複雑な積の形を劇的に縮小させることができます。

相補則

ある変数とその否定(バーが付いた変数)の論理積、および論理和に関する法則です。 A⋅Aˉ=0A \cdot \bar{A} = 0 A+Aˉ=1A + \bar{A} = 1

本問では、変数とその反転(例えば YY と Yˉ\bar{Y})の論理積が 00 になるという性質を利用して、不要な項を消去します。

論理式 (X+Y+Z)⋅(X+Yˉ+Z)⋅(Xˉ+Y+Z)(X+Y+Z) \cdot (X+\bar{Y}+Z) \cdot (\bar{X}+Y+Z) の簡単化プロセス

与えられた3つの因数の積からなる論理式を、上記の法則を用いて順を追って整理します。

1. 最初の2つの因数の簡単化

まずは、論理式の左側にある2つの因数 (X+Y+Z)(X+Y+Z) と (X+Yˉ+Z)(X+\bar{Y}+Z) に着目します。これらの因数には、共通して X+ZX+Z という項が含まれています。そこで、この共通部分を一つの塊として扱い、分配法則を適用します。

(X+Z)+Y(X+Z) + Y と (X+Z)+Yˉ(X+Z) + \bar{Y} の積であるとみなすと、分配法則 A+(B⋅C)=(A+B)⋅(A+C)A + (B \cdot C) = (A + B) \cdot (A + C) において A=X+ZA = X+Z, B=YB = Y, C=YˉC = \bar{Y} と置いた形と同じになります。これらをまとめると、次のようになります。 (X+Z)+(Y⋅Yˉ)(X+Z) + (Y \cdot \bar{Y})

ここで、相補則より Y⋅Yˉ=0Y \cdot \bar{Y} = 0 となるため、式は以下のように非常にシンプルになります。 (X+Z)+0=X+Z(X+Z) + 0 = X+Z

これにより、最初の2つの因数の積は X+ZX+Z に集約されました。

2. 3つ目の因数との組み合わせ

次に、先ほど得られた X+ZX+Z と、残されている3つ目の因数 (Xˉ+Y+Z)(\bar{X}+Y+Z) の積を計算します。 式は (X+Z)⋅(Xˉ+Y+Z)(X+Z) \cdot (\bar{X}+Y+Z) となります。

この2つの因数に共通して含まれる変数は ZZ です。そこで、共通項である ZZ を整理しやすいように、式の順序を並べ替えます。 (Z+X)⋅(Z+(Xˉ+Y))(Z+X) \cdot (Z+(\bar{X}+Y))

ここで再び、共通の ZZ を基準にして分配法則を適用します。A=ZA = Z, B=XB = X, C=Xˉ+YC = \bar{X}+Y と置くことで、式を以下のように変形できます。 Z+[X⋅(Xˉ+Y)]Z + [X \cdot (\bar{X}+Y)]

3. 括弧内の展開と相補則の適用

括弧の中にある積 X⋅(Xˉ+Y)X \cdot (\bar{X}+Y) を、もう一つの分配法則 A⋅(B+C)=A⋅B+A⋅CA \cdot (B+C) = A \cdot B + A \cdot C を用いて展開します。 X⋅Xˉ+X⋅YX \cdot \bar{X} + X \cdot Y

ここで、相補則より X⋅Xˉ=0X \cdot \bar{X} = 0 となるため、括弧内は以下のようになります。 0+X⋅Y=X⋅Y0 + X \cdot Y = X \cdot Y

これを全体の式に代入すると、論理式は以下のように簡略化されます。 Z+(X⋅Y)Z + (X \cdot Y)

4. 和積形式への最終変換

問題では「和積形式(論理和の積)」で簡単化したものを求めているため、得られた Z+(X⋅Y)Z + (X \cdot Y) を再び括弧で囲まれた積の形に戻す必要があります。ここで最初の分配法則 A+(B⋅C)=(A+B)⋅(A+C)A + (B \cdot C) = (A + B) \cdot (A + C) をそのまま適用します。 Z+(X⋅Y)=(Z+X)⋅(Z+Y)Z + (X \cdot Y) = (Z+X) \cdot (Z+Y)

それぞれの因数内の変数の並び順をアルファベット順に整理すると、最終的な簡単化された式が得られます。 (X+Z)⋅(Y+Z)(X+Z) \cdot (Y+Z)

なお、提示されたテキストの選択肢の表記では (4) に (X+Z)⋅(Y+Z)(X + Z) \cdot (Y + Z) が記載されていますが、実際の試験(平成21年度理論科目問18(b))においては、この式が選択肢 (5) に配置されていました。したがって、導出された (X+Z)⋅(Y+Z)(X + Z) \cdot (Y + Z) が求める正答となります。

与えられた論理式に含まれる共通の変数 XX や ZZ の配置に改めて着目すると、どの部分から分配法則を適用すれば効率よく式を縮められるのか、その構造が見えてきます。

参考リンク

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