第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 / 各問題解説 / 問161
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令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問161 解説 問16(a) 問16 架空電線路の径間、電線の長さ及びたるみに関して、次の(a)及び(b)の問いに答えよ。

設問図

問16(a) (a) 径間を S [m]、電線のたるみを D [m] とするとき、電線の長さ L [m] を示す式として、正しいもの を次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 (b) 電線の単位長当たりの重量を 10 N/m、実長を 50.01 m とする。この電線を径間 50.00 m で設置したときの電線の水平引張強さ [kN] として、最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. (1) S + 8D^2 / 3S ✓ 正答
  2. (2) S + 8D / 3S
  3. (3) S + 3D^2 / 8S
  4. (4) S + 3D / 8S
  5. (5) S + D^2 / 3S
  6. (1) 2.34
  7. (2) 2.55
  8. (3) 2.77
  9. (4) 7.22
  10. (5) 16.7

解説

解説

(a) 電線の長さ L を示す式

正答は (1) S+8D23SS + \frac{8D^2}{3S} です。この式は、電線のたるみが径間に対して十分に小さい場合に、電線の実長 LL を近似的に求めるためのものです。

自然現象とその法則

電線は、自重によって垂れ下がり、放物線状の形状(厳密には懸垂曲線)を描きます。この形状は「懸垂線(カテナリー)」として知られています。しかし、実務上、電線のたるみが径間に対して小さい場合(通常、たるみ DD が径間 SS の 1/10 以下程度)、計算の簡略化のために懸垂曲線を放物線で近似することが行われます。この放物線近似を用いることで、電線の実長 LL を径間 SS とたるみ DD を用いた簡単な式で表すことができます。

設問条件への適用

この問題では、電線のたるみ DD と径間 SS が与えられており、電線の実長 LL を示す式を求めています。放物線近似による電線の長さの近似式として、 L≈S+8D23SL \approx S + \frac{8D^2}{3S} が広く用いられています。この近似式は、テイラー展開などを用いて懸垂曲線の式から導出されますが、その導出過程を理解していなくても、この近似式そのものを知識として覚えておくことが、この種の設問を解く上で重要となります。

選択肢を比較すると、 (1) S+8D23SS + \frac{8D^2}{3S} がこの放物線近似による電線の長さの式と一致します。他の選択肢は、 DD の次数が異なったり、係数が異なったりしており、この近似式としては正しくありません。

(b) 電線の水平引張強さ

正答は (4) 7.22 kN です。これは、電線の実長、単位長当たりの重量、および径間から、電線にかかる張力を計算し、それを水平引張強さとして求める問題です。

自然現象とその法則

電線が自重によって垂れ下がった状態では、電線には重力と、それを支える張力が働いています。この張力は、電線の各点において向きが変化しますが、水平方向の張力は一定となり、これが「水平引張強さ」または「水平張力」と呼ばれます。電線のたるみは、この水平張力と電線の単位長当たりの重量によって決まります。

この関係は、以下の式で近似的に表されます。 TH≈wS28DT_H \approx \frac{wS^2}{8D} ここで、THT_H は水平張力(N)、ww は電線の単位長当たりの重量(N/m)、SS は径間(m)、DD はたるみ(m)です。

設問条件への適用

この問題では、電線の単位長当たりの重量 w=10 N/mw = 10 \, \text{N/m}、実長 L=50.01 mL = 50.01 \, \text{m}、径間 S=50.00 mS = 50.00 \, \text{m} が与えられています。まず、電線のたるみ DD を求める必要があります。

(a)で得られた電線の長さの近似式 L≈S+8D23SL \approx S + \frac{8D^2}{3S} を用いて、 DD について解きます。 50.01≈50.00+8D23×50.0050.01 \approx 50.00 + \frac{8D^2}{3 \times 50.00} 0.01≈8D21500.01 \approx \frac{8D^2}{150} D2≈0.01×1508=1.58=0.1875D^2 \approx \frac{0.01 \times 150}{8} = \frac{1.5}{8} = 0.1875 D≈0.1875≈0.433 mD \approx \sqrt{0.1875} \approx 0.433 \, \text{m}

次に、このたるみ DD と与えられた値を用いて、水平引張強さ THT_H を計算します。 TH≈wS28DT_H \approx \frac{wS^2}{8D} TH≈10 N/m×(50.00 m)28×0.433 mT_H \approx \frac{10 \, \text{N/m} \times (50.00 \, \text{m})^2}{8 \times 0.433 \, \text{m}} TH≈10×25003.464T_H \approx \frac{10 \times 2500}{3.464} TH≈250003.464≈7217 NT_H \approx \frac{25000}{3.464} \approx 7217 \, \text{N}

これをキロニュートン(kN)に換算します。 7217 N≈7.217 kN7217 \, \text{N} \approx 7.217 \, \text{kN}

選択肢の中で最も近い値は (4) 7.22 kN です。

電線の実長と径間の差が非常に小さいことから、たるみも小さいことが予想されます。このため、(a)で求めた近似式が妥当な結果を与えています。

電線のたるみと径間、そして水平引張強さの関係を、実長とたるみの関係式と合わせて見てみると、電線がどのような状態にあるのかがより鮮明に見えてきます。

参考リンク

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