令和8年度第三種電気主任技術者上期試験 電力科目 問172 解説 問17(b) 問17(b)
問17(b)
図のように、電圧線及び中性線の抵抗がそれぞれ 0.15 Ω 及び 0.20 Ω の 100/200 V 単相 3 線式配電線路に、力率が 100 % で電流がそれぞれ 75 A 及び 50 A の二つの負荷が接続されている。
この配電線路にバランサを接続した場合について、次の(a)及び(b)の間に答えよ。
ただし、負荷電流は一定とし、線路抵抗以外のインピーダンスは無視するものとする。
(b) バランサを接続したことによる線路損失の減少量 [W] として、正しいものを次の(1)~(5) のうちから一つ選べ。
- (1) 57
- (2) 69
- (3) 86
- (4) 103
- (5) 172 ✓ 正答
解説
バランサを接続したことにより、線路損失が172W減少します。
電力損失の減少は、負荷電流の不均衡を是正することによる
単相3線式配電線路において、負荷電流が電圧線と中性線で不均等に流れると、中性線に電流が流れ、線路損失が増加します。バランサは、この負荷電流の不均衡を自動的に調整し、中性線に流れる電流を最小限に抑えることで、線路損失を減少させる役割を果たします。
線路損失の基本概念と計算方法
電力線路の損失は、電流が抵抗を流れる際に発生するジュール熱によるもので、電力損失 P は以下の式で表されます。
P=I2×R
ここで、I は電流 [A]、 R は抵抗 [Ω] です。単相3線式配電線路の場合、電圧線(上線と下線)と中性線のそれぞれに抵抗があるため、それぞれの区間で発生する損失を合計する必要があります。
バランサ接続による線路損失の減少量の算出
この問題では、バランサを接続したことによる線路損失の減少量を求める必要があります。そのためには、まずバランサを接続しない場合の線路損失と、バランサを接続した場合の線路損失をそれぞれ計算し、その差を求める必要があります。
バランサを接続しない場合の線路損失の計算
- 上部の電圧線(抵抗 0.15 Ω)には 75 A の電流が流れます。
- 下部の電圧線(抵抗 0.15 Ω)には 50 A の電流が流れます。
- 上部の負荷と下部の負荷の電流差(75 A - 50 A = 25 A)が中性線に流れます。
- 中性線の抵抗は 0.20 Ω です。
バランサを接続しない場合の線路損失 Pno_balancer は、各線路での損失の合計です。
Pno_balancer=(Iupper_line)2×Rupper_line+(Ilower_line)2×Rlower_line+(Ineutral_line)2×Rneutral_line
Pno_balancer=(75 A)2×0.15 Ω+(50 A)2×0.15 Ω+(25 A)2×0.20 Ω
Pno_balancer=5625×0.15+2500×0.15+625×0.20
Pno_balancer=843.75 W+375 W+125 W=1343.75 W
バランサを接続した場合の線路損失の計算
バランサを接続すると、各負荷への電流の供給が調整され、上部と下部の電圧線に流れる電流がほぼ均等になると考えられます。この場合、中性線に流れる電流はほぼゼロになります。
- 上部の電圧線に流れる電流 Iupper_line′ は、全体の負荷電流の半分((75 A + 50 A) / 2 = 62.5 A)になります。
- 下部の電圧線に流れる電流 Ilower_line′ も同様に 62.5 A になります。
- 中性線に流れる電流 Ineutral_line′ は 0 A となります。
バランサを接続した場合の線路損失 Pbalancer は、各線路での損失の合計です。
Pbalancer=(Iupper_line′)2×Rupper_line+(Ilower_line′)2×Rlower_line+(Ineutral_line′)2×Rneutral_line
Pbalancer=(62.5 A)2×0.15 Ω+(62.5 A)2×0.15 Ω+(0 A)2×0.20 Ω
Pbalancer=3906.25×0.15+3906.25×0.15+0
Pbalancer=585.9375 W+585.9375 W=1171.875 W
線路損失の減少量の算出
線路損失の減少量 ΔP は、バランサを接続しない場合の線路損失から、バランサを接続した場合の線路損失を差し引いた値です。
ΔP=Pno_balancer−Pbalancer
ΔP=1343.75 W−1171.875 W=171.875 W
この値に最も近い選択肢は (5) 172 W です。
線路の抵抗値と負荷電流の値、そしてバランサが電流の不均衡を解消する仕組みを再確認すると、172Wという減少量が導き出されます。
参考リンク
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