第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度 上期 第3種 理論 / 各問題解説 / 問10
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令和8年度 上期 第3種 理論 問10 解説 問1

直流電圧 $1\ 000\text{ V}$ の電源で充電された静電容量 $8\ \mu\text{F}$ の平行平板コンデンサがある。コンデンサを電源から外した後に電荷を保持したままコンデンサの電極間距離を元の距離の $2$ 倍にしたとき,静電容量 $[\mu\text{F}]$ と静電エネルギー $[\text{J}]$ の値の組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

  1. 静電容量:4,静電エネルギー:4
  2. 静電容量:4,静電エネルギー:8 ✓ 正答
  3. 静電容量:16,静電エネルギー:2
  4. 静電容量:16,静電エネルギー:4
  5. 静電容量:16,静電エネルギー:8

解説

電源分離により電荷 QQ が一定に保たれた平行平板コンデンサにおいて、極板間距離を 22 倍にすると静電容量は半分の 4 μF4\ \mu\text{F} に減少するため、静電エネルギーは反比例して 22 倍の 8 J8\text{ J} に増加し、選択肢の「静電容量:4,静電エネルギー:8」が正解となります。

平行平板コンデンサの構造と静電エネルギーの法則

平行平板コンデンサの静電容量 C [F]C\ [\text{F}] は、極板間の誘電率 ε [F/m]\varepsilon\ [\text{F/m}]、極板面積 S [m2]S\ [\text{m}^2]、極板間距離 d [m]d\ [\text{m}] を用いて次の静電容量の公式で表されます。

C=εSdC = \varepsilon \frac{S}{d}

この公式から、極板面積 SS や誘電率 ε\varepsilon が一定である場合、静電容量 CC は極板間距離 dd に反比例することがわかります。距離を離すほど静電容量は小さくなり、距離を近づけるほど静電容量は大きくなります。

また、充電されたコンデンサに蓄えられる静電エネルギー W [J]W\ [\text{J}] は、電荷 Q [C]Q\ [\text{C}]、静電容量 C [F]C\ [\text{F}]、端子間電圧 V [V]V\ [\text{V}] を用いて次のように表されます。

W=12QV=12CV2=Q22CW = \frac{1}{2}QV = \frac{1}{2}CV^2 = \frac{Q^2}{2C}

コンデンサの問題を解くうえで最も重要な点は、回路の接続状態によって「どの変数が一定に保たれるか」を見極めることです。

電源から分離されたコンデンサでは、電荷の逃げ道がないため電荷保存の法則により電荷 QQ が一定(不変)となります。このとき、静電エネルギーの算出には W=Q22CW = \frac{Q^2}{2C} の形式を用いるのが適しています。電荷 QQ が固定されているため、静電エネルギー WW は静電容量 CC に反比例します。つまり、静電容量 CC が小さくなると、静電エネルギー WW は増加します。これは、電荷同士が引き合う静電気力に逆らって極板を引き離す際に、外部から加えられた機械的な作業(仕事)が静電エネルギーとして蓄えられるためです。

一方、電源に接続されたままの場合は電圧 VV が一定となるため、W=12CV2W = \frac{1}{2}CV^2 を使用します。この場合は静電エネルギーが静電容量 CC に比例するため、分離時と保持時で表式と挙動の混同を防ぐことが重要です。

平行平板コンデンサの距離変更に伴う状態変化

  1. 極板間距離の変更に伴う静電容量の算出 初期の静電容量は C1=8 μFC_1 = 8\ \mu\text{F} です。極板間距離が元の dd から 2d2d へ 22 倍になると、静電容量の公式 C=εSdC = \varepsilon \frac{S}{d} より、静電容量は初期値の 12\frac{1}{2} 倍に減少します。したがって、変化後の静電容量 C2C_2 は次のように求まります。 C2=C12=8 μF2=4 μFC_2 = \frac{C_1}{2} = \frac{8\ \mu\text{F}}{2} = 4\ \mu\text{F}

  2. 初期状態における蓄積電荷量および初期静電エネルギーの算出 充電時の電圧は V1=1 000 VV_1 = 1\ 000\text{ V}、静電容量は C1=8 μF=8×10−6 FC_1 = 8\ \mu\text{F} = 8 \times 10^{-6}\text{ F} です。このときコンデンサに蓄えられた電荷量 QQ は次の通りです。 Q=C1V1=8×10−6 F×1 000 V=8×10−3 CQ = C_1 V_1 = 8 \times 10^{-6}\text{ F} \times 1\ 000\text{ V} = 8 \times 10^{-3}\text{ C} また、充電直後の初期静電エネルギー W1W_1 は次の通りです。 W1=12C1V12=12×(8×10−6 F)×(1 000 V)2=4 JW_1 = \frac{1}{2} C_1 V_1^2 = \frac{1}{2} \times (8 \times 10^{-6}\text{ F}) \times (1\ 000\text{ V})^2 = 4\text{ J}

  3. 電荷保持下での静電エネルギー変化の算出 電源から取り外された後は電荷保存の法則が成り立つため、電荷は Q=8×10−3 CQ = 8 \times 10^{-3}\text{ C} のまま保持されます。静電容量が C2=4 μF=4×10−6 FC_2 = 4\ \mu\text{F} = 4 \times 10^{-6}\text{ F} に変化した後の静電エネルギー W2W_2 は次のように計算できます。 W2=Q22C2=(8×10−3 C)22×(4×10−6 F)=64×10−68×10−6=8 JW_2 = \frac{Q^2}{2 C_2} = \frac{(8 \times 10^{-3}\text{ C})^2}{2 \times (4 \times 10^{-6}\text{ F})} = \frac{64 \times 10^{-6}}{8 \times 10^{-6}} = 8\text{ J} 電荷 QQ が一定の条件では静電エネルギー WW は静電容量 CC に反比例するため、静電容量が 12\frac{1}{2} になったことで、エネルギーは初期値 4 J4\text{ J} の 22 倍である 8 J8\text{ J} に増加します。電圧 VV が一定であると誤認して W=12CV2W = \frac{1}{2}CV^2 を適用すると、エネルギーが半分の 2 J2\text{ J} に減少すると誤解することになります。

電源を外した後の電荷の保持と、引き離される極板間距離の変化に着目してみると、外力によって与えられた仕事が静電エネルギーへ蓄積される関係が見えてきます。

参考リンク

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