第三種電気主任技術者試験 / 令和8年度 上期 第3種 理論 / 各問題解説 / 問20
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令和8年度 上期 第3種 理論 問20 解説 理論 問2

設問図

図のように,真空中に点P,点A,点Bが直線上に配置されている。点PはQ [C]の点電荷を置いた点とし,A-B 間に生じる電位差の絶対値を|V_AB| [V]とする。次の(a)〜(d)の四つの実験を個別に行ったとき,|V_AB| [V]の値が最小となるものと最大となるものの組合せとして,正しいものを次の(1)〜(5)のうちから一つ選べ。 [実験内容] (a) P-A 間の距離を2 m,A-B 間の距離を1 mとした。 (b) P-A 間の距離を1 m,A-B 間の距離を2 mとした。 (c) P-A 間の距離を0.5 m,A-B 間の距離を1 mとした。 (d) P-A 間の距離を1 m,A-B 間の距離を0.5 mとした。

  1. (a)と(b)
  2. (b)と(c)
  3. (c)と(d)
  4. (a)と(c) ✓ 正答
  5. (b)と(d)

解説

点電荷が作る電位が距離に反比例する関係に基づいて各実験の点Aおよび点Bまでの距離から電位差の絶対値を比較すると、最小値を与える条件が(a)、最大値を与える条件が(c)となるため、選択肢の中では「(a)と(c)」が正答の組合せとなります。

点電荷が作る電位とクーロンの法則

真空中において、電荷量 QQ [C] の点電荷が点Pに存在するとき、点Pから距離 rr [m] 離れた位置における電位 VV [V] は、クーロンの法則に関連する真空の誘電率 ε0\varepsilon_0 [F/m] を用いて定義されます。

V=Q4πε0rV = \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0 r}

この関係式は、点電荷の周囲に形成される電位の大きさが、電荷からの距離 rr に反比例して減少することを示しています。

図のように点P、点A、点Bが直線上にこの順で並んでいる場合、点Pから点Aまでの距離を rAr_A [m]、点Pから点Bまでの距離を rBr_B [m] とすると、それぞれの点における電位は VA=Q4πε0rAV_A = \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0 r_A}、および VB=Q4πε0rBV_B = \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0 r_B} です。

2点A-B間の電位差の絶対値 ∣VAB∣|V_{AB}| は、両点の電位の差の絶対値 ∣VA−VB∣|V_A - V_B| として算出できます。

∣VAB∣=∣Q4πε0rA−Q4πε0rB∣=∣Q∣4πε0∣1rA−1rB∣|V_{AB}| = \left| \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0 r_A} - \frac{Q}{4 \pi \varepsilon_0 r_B} \right| = \frac{|Q|}{4 \pi \varepsilon_0} \left| \frac{1}{r_A} - \frac{1}{r_B} \right|

共通の定数部分である ∣Q∣4πε0\frac{|Q|}{4 \pi \varepsilon_0} は、四つの実験すべてで同一の値です。そのため、電位差の絶対値 ∣VAB∣|V_{AB}| の大きさを比較する際は、点Pからの距離の逆数の差である ∣1rA−1rB∣\left| \frac{1}{r_A} - \frac{1}{r_B} \right| の大小を比べることで判断できます。

なお、点Pから点Bまでの距離 rBr_B は、点Pから点Aまでの距離 rAr_A に A-B間の距離を加えた値(rB=rA+(A-B間の距離)r_B = r_A + (\text{A-B間の距離}))となります。

各実験における電位差の評価

  1. 実験(a)では、点P-A間の距離が 2 m2\text{ m}、A-B間の距離が 1 m1\text{ m} であるため、点Pからの距離は rA=2 mr_A = 2\text{ m}、rB=2+1=3 mr_B = 2 + 1 = 3\text{ m} です。距離の逆数の差を計算すると ∣12−13∣=16≈0.167\left| \frac{1}{2} - \frac{1}{3} \right| = \frac{1}{6} \approx 0.167 となります。

  2. 実験(b)では、点P-A間の距離が 1 m1\text{ m}、A-B間の距離が 2 m2\text{ m} であるため、点Pからの距離は rA=1 mr_A = 1\text{ m}、rB=1+2=3 mr_B = 1 + 2 = 3\text{ m} です。距離の逆数の差を計算すると ∣11−13∣=23≈0.667\left| \frac{1}{1} - \frac{1}{3} \right| = \frac{2}{3} \approx 0.667 となります。

  3. 実験(c)では、点P-A間の距離が 0.5 m0.5\text{ m}、A-B間の距離が 1 m1\text{ m} であるため、点Pからの距離は rA=0.5 mr_A = 0.5\text{ m}、rB=0.5+1=1.5 mr_B = 0.5 + 1 = 1.5\text{ m} です。距離の逆数の差を計算すると ∣10.5−11.5∣=∣2−23∣=43≈1.333\left| \frac{1}{0.5} - \frac{1}{1.5} \right| = \left| 2 - \frac{2}{3} \right| = \frac{4}{3} \approx 1.333 となります。

  4. 実験(d)では、点P-A間の距離が 1 m1\text{ m}、A-B間の距離が 0.5 m0.5\text{ m} であるため、点Pからの距離は rA=1 mr_A = 1\text{ m}、rB=1+0.5=1.5 mr_B = 1 + 0.5 = 1.5\text{ m} です。距離の逆数の差を計算すると ∣11−11.5∣=∣1−23∣=13≈0.333\left| \frac{1}{1} - \frac{1}{1.5} \right| = \left| 1 - \frac{2}{3} \right| = \frac{1}{3} \approx 0.333 となります。

  5. 各実験で求めた逆数の差の値を比較すると、最小の値は実験(a)の 16\frac{1}{6} であり、最大の値は実験(c)の 43\frac{4}{3} です。これにより、|V_AB| の値が最小となる実験は(a)、最大となる実験は(c)であることが決まります。

点Pからの距離が小さくなるほど電位のグラフの傾きが急激になる性質と、各実験での点Aの位置およびA-B間の距離を重ね合わせて見ると、電荷に近い領域ほど短い距離でも大きな電位差が生じる様子が分かります。

参考リンク

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