令和8年度 上期 第3種 理論 問151 解説 問15(a)
問 15 図のような平衡三相回路の負荷において,誘導性リアクタンス X_L [Ω] に流れる電流の大きさを I_L [A],容量性リアクタンス X_C [Ω] に流れる電流の大きさを I_C [A] とするとき,次の (a) 及び (b) の問に答えよ。(a) X_L によるΔ結線の負荷をこれと等価なY結線の負荷に変換したとき,変換後の1相の誘導性リアクタンス X'_L [Ω] に流れる電流 I'_L [A] の大きさとして,正しいものを次の (1)~(5) のうちから一つ選べ。
- (1) 1/√3 I_L
- (2) 1/√2 I_L
- (3) I_L ✓ 正答
- (4) √2 I_L
- (5) √3 I_L
解説
平衡三相回路のΔ結線負荷をこれと等価なY結線負荷に変換する際、線間電圧が同じであれば、Y結線変換後の各相に流れる電流はΔ結線時の各相に流れる電流の倍になります。そのため、誘導性リアクタンス に流れる電流 を用いると、変換後の1相の誘導性リアクタンス に流れる電流 は となり、正解は(5)です。
Δ-Y変換と平衡三相回路の性質
三相交流回路では、負荷の接続方法としてΔ(デルタ)結線とY(スター)結線がよく用いられます。これらの結線は、特定の条件のもとで互いに「等価」な回路として扱われます。回路が等価であるとは、同じ線間電圧を加えたときに、外部から見た線電流の大きさや位相が等しく、回路全体で消費される電力が等しい状態を指します。
平衡三相回路とは、各相のインピーダンスが等しく、電源電圧も各相で大きさは等しく位相が120度ずつずれているような、対称性の高い回路です。この平衡三相回路において、Δ結線の負荷をY結線の負荷に等価変換する場合、各相のインピーダンスには特定の関係が成り立ちます。具体的には、Δ結線側の1相インピーダンスを とすると、等価なY結線側の1相インピーダンス は となります。これは、線間電圧を一定に保ちながら、線電流が同じになるようにインピーダンスを調整するという意味合いを持ちます。
また、平衡三相回路における電圧と電流の関係も重要です。
- Δ結線では、各相のインピーダンスには線間電圧が直接かかります。そのため、相電圧 は線間電圧 と等しくなります ()。線電流 は相電流 の 倍の大きさになります ()。
- Y結線では、線間電圧 は各相のインピーダンスにかかる電圧(相電圧 )の 倍となります (、つまり )。線電流 は相電流 と等しくなります ()。
これらのインピーダンスと電圧・電流の関係を理解することが、Δ-Y変換を伴う問題の解答において不可欠です。
Δ結線からY結線への等価変換における電流の判断
設問の条件と上記の法則に基づき、答えに至る判断をステップで説明します。
Δ結線における誘導性リアクタンス に流れる電流 を特定します。 問題の図に示す通り、平衡三相Δ結線では、線間電圧 が各相のインピーダンスに直接かかります。誘導性リアクタンス もその一つです。 したがって、Δ結線における各相の誘導性リアクタンス にかかる相電圧 は、線間電圧 と等しくなります。 よって、電流 はオームの法則から次のように表せます。 (これはΔ結線における相電流です。)
Δ結線負荷を等価なY結線負荷に変換したときの1相の誘導性リアクタンス を決定します。 Δ結線負荷を等価なY結線負荷に変換する場合、Y結線側の1相インピーダンス は、Δ結線側の1相インピーダンス の になります。 今回の問題ではインピーダンスが誘導性リアクタンス なので、変換後の1相の誘導性リアクタンス は次のように求められます。
Y結線変換後の1相の誘導性リアクタンス に流れる電流 を計算します。 Y結線に変換された負荷に、元のΔ結線と同じ線間電圧 が加えられると仮定します。 Y結線の各相にかかる電圧(相電圧)は、線間電圧 の になります。 よって、Y結線における相電圧 は次のように表せます。 この相電圧 が、変換後のリアクタンス にかかります。したがって、流れる電流 はオームの法則により次のように計算できます。 この式を整理すると、 ステップ1で求めた をこの式に代入すると、 となります。
この結果は、Δ結線における相電流 の 倍が、等価なY結線における相電流 になることを示しています。この が選択肢(5)の と一致します。
三相回路のΔ結線とY結線の接続形状に着目し、各相にかかる電圧とインピーダンス、そして線電流の関係を重ねてみると、等価変換における電流やインピーダンスの法則が明確に見えてきます。