平成22年度 筆記試験 問11 解説 誘導電動機の一次周波数
6極のかご形三相誘導電動機があり、その一次周波数が調整できるようになっている。 この電動機が滑り5〔%〕、回転速度570〔min-1〕で運転されている場合の一次周波数〔Hz〕は。
- イ. 20
- ロ. 30 ✓ 正答
- ハ. 40
- ニ. 50
解説
計算のステップ
この問題を解くには、まず誘導電動機の回転速度と同期速度の関係を使い、同期速度を求めます。次に、同期速度の公式から周波数を逆算します。
- 回転速度 と滑り から同期速度 を求める より、 と変形し、 を導きます。
- 同期速度の公式から周波数 を求める より、 と変形し、 を算出します。
誘導電動機の回転速度の仕組み
誘導電動機の回転子(ローター)は、磁界の回転速度である同期速度 に引きずられるように回ります。しかし、負荷がかかっている場合、回転子の速度 は必ず同期速度 よりもわずかに遅くなります。この「遅れ」を滑り(スリップ)と呼び、 という式で表します。
問題文にある「回転速度 」は、 で回転する磁界に対して、 遅れて回転している状態を示しています。この「どれだけ遅れているか」を把握することが、誘導電動機の特性を理解する第一歩です。
同期速度と極数・周波数の関係
同期速度の公式 は、三相誘導電動機を扱う上で最も重要な基礎知識です。ここで、 は極数、 は一次周波数です。
極数が決まれば、周波数によって同期速度が決定されます。例えば、一般的な商用電源の 、4極の電動機であれば、 となります。本問のように周波数を調整できるインバータ制御などの環境では、この式を用いて「狙った速度を出すために何ヘルツ必要なのか」を逆算して制御を行います。
実務における周波数制御の意義
この問題は、産業機械のスピード調整に欠かせないインバータ制御の考え方を問うています。コンベアやポンプ、送風機などは、用途に合わせて回転速度を変える必要があります。
もし周波数が固定されていると、ギアやプーリーを変えて物理的に減速するしかありませんが、インバータを用いて一次周波数を制御すれば、モーターの回転数自体をスムーズに加減速できます。電気工事士試験では、単に公式を覚えるだけでなく、こうした「周波数を変えることでモーターの回転を自在に操れる」という実務的な背景をイメージしておくと、公式の丸暗記から脱却でき、応用力が格段に高まります。