平成22年度 筆記試験 問12 解説 燃料電池の発電原理
りん酸形燃料電池の発電原理図として、正しいものは。
- イ.
- ロ. ✓ 正答
- ハ.
- ニ.
解説
この問題を解くためのポイントは、燃料電池における「負極に燃料(水素)、正極に酸化剤(酸素)」という基本配置を正確に把握しているかです。
燃料電池の基本構造と反応
りん酸形燃料電池(PAFC)は、水素と酸素の化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する装置です。試験問題の図を判断する際は、以下の化学反応式を軸に整理すると迷いがなくなります。
負極(アノード)側では、供給された水素が電子を放出して水素イオンになります。
正極(カソード)側では、供給された酸素が、電解液を通ってきた水素イオンおよび外部回路から戻ってきた電子と反応して水が生成されます。
この構造から、負極には必ず水素ガス(H2)を導入し、正極からは生成物である水(H2O)が出てくるような配置になっている図を探すのが正解への最短ルートです。
選択肢の判別プロセス
提示された選択肢を、上記の知識に基づき検証します。
- 負極(マイナス極)に水素(H2)が供給されているか
- 正極(プラス極)に酸素(O2)が供給されているか
- 正極側から水(H2O)が排出される流れになっているか
これらの条件を満たすのは選択肢ロだけです。選択肢イは負極と正極の供給ガスが逆になっており、ハやニは生成物や反応物質の配置が物理的に誤っています。特に燃料電池は、負極が電子を放出する場所(マイナス極)、正極が電子を受け取る場所(プラス極)という電気的な役割が決まっているため、供給されるガスの配置を入れ替えることはできません。
実務や技術試験における意義
この問題は単なる暗記確認にとどまらず、燃料電池のエネルギー変換プロセスを理解しているかを問うています。第一種電気工事士の試験において、分散型電源や非常用電源の知識は重要です。今後、スマートグリッドや水素社会の進展に伴い、燃料電池設備に関わる機会は増える可能性があります。
「どの電極で何が反応し、何が生成されるのか」というプロセスの理解は、燃料電池の定期点検や、システム構成を考える際の基礎となります。供給ラインと排出ラインの向きを間違えることは、実際のプラント設計や安全管理上の重大なミスに直結するため、単純な図であっても「物質の入出力」を論理的に追えるようにしておくことが、将来的な技術者としての信頼に繋がります。