平成22年度 筆記試験 問33 解説 ケーブルラックの施工
④に示すケーブルラックの施工に関する記述として、誤っているものは。
- イ. ケーブルラックには、D種接地工事を施した。
- ロ. ケーブルラックが受変電室の壁を貫通する部分は、火災の延焼防止に必要な耐火処理を施した。
- ハ. ケーブルラックは、フレームパイプに堅固に固定した。
- ニ. 同一のケーブルラックに電灯幹線と動力幹線のケーブルを布設する場合、両者の間にセパレータを設けなければならない。 ✓ 正答
解説
この問題は、電気設備技術基準および内線規程におけるケーブルラック工事の「禁止事項」と「推奨事項」の混同を突く出題です。選択肢ニが誤りである根拠は、電灯幹線と動力幹線を同一のケーブルラックに収めること自体は禁止されておらず、セパレータの設置も義務ではないという点にあります。
ケーブルラック工事のルールと法規的解釈
ケーブルラックは金属製のダクト類の一種として扱われます。金属製のケーブルラックには、接触による感電事故を防ぐために原則として接地工事が必要です。
選択肢イのD種接地についてですが、これは原則として対地電圧300V以下の低圧回路で使用する金属製管やダクトに適用されるものです。高圧ケーブルを収める場合や、300Vを超える低圧回路の場合には、接地抵抗値がより厳しいA種接地が必要となる場面もありますが、一般的な低圧屋内配線工事においてはD種接地が標準的な知識として問われます。
選択肢ハの「堅固な固定」は、電気設備技術基準における支持点間距離の遵守や、地震時の落下防止という観点から必須の要件です。ケーブルラックが正しく固定されていないと、振動や自重で脱落し、重大な事故につながる恐れがあるため、施工上の基本ルールとなります。
なぜセパレータ設置が誤りなのか
試験で最も勘違いしやすいのが、電灯回路と動力回路の「混触防止」に関する規定です。
法規上、電灯回路(一般的にAC100Vや200V)と動力回路(AC200V等)を同一のケーブルラックに入れることは禁止されていません。もちろん、誘導障害(ノイズ)やメンテナンス時の誤接続防止の観点からは、セパレータ(仕切り板)を設けることが推奨されます。しかし、「設けなければならない」という強制力のある義務規定は存在しません。
試験問題において「〜しなければならない」という強い表現が使われている場合、それが技術基準等の条文で明確に義務付けられているかどうかを確認することが、正誤を分けるポイントとなります。
実務におけるケーブルラック施工の考え方
この問題の教育的意図は、施工現場で求められる「法令上の義務」と「現場の施工指針(推奨)」を区別できているかという点にあります。
実務では、ノイズの影響を受けやすい制御用ケーブルと動力ケーブルを同じラックに入れることは避けるのが一般的です。もし混在させる場合には、セパレータを入れたり、ラックを分けたりすることでトラブルを未然に防ぎます。しかし、試験対策としては、「ルールとして義務付けられていること(安全に関わるもの)」と「品質向上のための工夫(推奨されるもの)」を明確に切り離して覚える必要があります。
選択肢ロの耐火処理については、建築基準法および電気設備技術基準において、防火区画を貫通する際の必須事項です。火災が壁を通じて延焼しないように、隙間を耐火材で埋めることは厳格に義務付けられています。これらの「義務」と「推奨」の境界線を整理しておくことが、合格への近道です。