平成22年度 筆記試験 問37 解説 絶縁性能の基準
低圧屋内配線の開閉器又は過電流遮断器で 区切ることができる電路ごとの絶縁性能とし て、「電気設備技術基準(解釈を含む)」に 適合するものは。
- イ. 対地電圧 200〔V〕の電動機回路の絶縁抵抗を測定した結果、0.1〔MΩ〕であった。
- ロ. 対地電圧 100〔V〕の電灯回路の絶縁抵抗を測定した結果、0.05〔MΩ〕であった。
- ハ. 対地電圧 100〔V〕のコンセント回路の漏えい電流を測定した結果、2〔mA〕であった。
- ニ. 対地電圧 100〔V〕の電灯回路の漏えい電流を測定した結果、0.5〔mA〕であった。 ✓ 正答
解説
低圧電路の絶縁性能は「絶縁抵抗値」で判断するのが原則ですが、絶縁抵抗の測定が困難な場合には「漏えい電流」による確認が認められています。その際の基準値は一律で「1mA以下」です。この知識を前提に、各選択肢の数値を基準と照らし合わせることで正誤を判定します。
絶縁性能の判定基準
電気設備技術基準の解釈第13条では、低圧電路の絶縁性能について以下のように規定しています。
・原則(絶縁抵抗値): 対地電圧が150V以下の場合は0.1MΩ以上、150Vを超え300V以下の場合は0.2MΩ以上であること。
・例外(漏えい電流値): 絶縁抵抗の測定が困難な場合、漏えい電流が1mA以下であれば、その電路の絶縁性能は適格であるとみなされます。
今回の問題では、対地電圧100Vおよび200Vの回路が登場しますが、漏えい電流で判定する場合は電圧の区分に関わらず「1mA以下」という数値が共通の合格ラインとなります。
各選択肢の検討プロセス
イ:対地電圧200Vの回路は、原則である絶縁抵抗値では0.2MΩ以上が必要です。測定値の0.1MΩでは基準を満たしません。
ロ:対地電圧100Vの回路は、原則である絶縁抵抗値では0.1MΩ以上が必要です。測定値の0.05MΩでは基準を満たしません。
ハ:漏えい電流の基準値は1mA以下です。測定値の2mAは基準を超過しているため不適格です。
ニ:測定値の0.5mAは、基準である1mA以下を満たしているため、適切です。
実務現場における絶縁管理
試験で問われるこの数値は、現場における保安業務の根幹に関わります。絶縁抵抗計(メガー)による測定は、停電させて行う必要がありますが、病院やデータセンターなど、24時間稼働が求められる施設では停電を伴う点検が困難なケースが多くあります。
そうした現場では、漏えい電流計(クランプメーター)を用いて、通電したままの状態で管理を行うことが一般的です。また、近年では「絶縁監視装置」を分電盤に恒久的に設置し、漏えい電流を常時監視することで、劣化の兆候を早期に発見し、火災や感電事故を未然に防ぐ運用が推奨されています。試験の数値は、単なる暗記対象ではなく、安全な電力供給を維持するための「警戒ライン」として非常に重要な意味を持っています。