第一種電気工事士試験 / 平成23年度 筆記試験 / 問16
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平成23年度 筆記試験 問16 解説 揚水ポンプの入力

全揚程が H〔m〕、揚水量が Q〔m³/s〕である揚水ポンプの電動機の入力〔kW〕を示す式は。 ただし、電動機の効率を ηm、ポンプの効率を ηp とする。

選択肢図
  1. イ. ✓ 正答
  2. ロ.
  3. ハ.
  4. ニ.

解説

この問題は、ポンプを動かすための電動機(モータ)にどれだけの電力が必要かを計算する公式を問うものです。計算結果の単位が kWkW であることに注目すれば、水の質量や重力加速度から導かれる仕事率の単位合わせを意識することで、式を迷わずに導き出せます。

水の仕事と必要なエネルギー

ポンプが単位時間あたりに汲み上げる水の重さは、水の密度を ρ\rho〔kg/m³〕、重力加速度を gg〔m/s²〕、揚水量を QQ〔m³/s〕とすると、W=ρgQW = \rho g Q〔N/s〕で表されます。水1m³の重さは約1,000kgですので、これに重力加速度 g9.8g \approx 9.8 を乗じることで、重力に逆らって水を持ち上げるための力(重さ)が求まります。

この水に全揚程 HH〔m〕を掛け合わせると、1秒間に行う仕事率(出力)が得られます。単位は〔W〕となるため、kWkW に換算するために1,000で割る必要がありますが、第一種電気工事士の試験では、この計算過程における係数 9.89.8 を分子に置く形式が一般的です。

効率による損失を考慮する

ポンプには「ポンプそのものの効率 ηp\eta_p」と「電動機の効率 ηm\eta_m」が存在します。これらはエネルギーが変換される過程で失われる分を補うための係数です。

物理的な仕事率 Pout=9.8QHP_{out} = 9.8QH に対して、最終的に電動機から供給すべき入力 PinP_{in} は、効率分だけ大きくする必要があります。効率は1以下の数値であるため、分母に効率を配置することで、計算結果が本来必要な仕事率よりも大きな値になるように調整します。したがって、求める電動機の入力は以下の式となります。

P=9.8QHηpηmP = \frac{9.8QH}{\eta_p \eta_m} 〔kW〕

試験での判断プロセス

選択肢を眺めるときは、まず「分子に9.8とHとQがまとまっているか」を確認してください。9.89.8 は重力加速度から来る定数であり、Q×HQ \times H はポンプの仕事量を表す物理的に不可欠な要素です。

次に、「効率をどう扱うか」を考えます。効率は損失をカバーするために「割る」ことで値を大きくする役割を持っています。選択肢の中で ηpηm\eta_p \eta_m が分母にあるものはイのみです。もし ηpηm\eta_p \eta_m を掛けてしまうと、効率が低いほど必要な電力が小さくなるという物理的に矛盾した結果になってしまうため、直感的に「効率は分母」と判断することも可能です。

揚水ポンプの知識が役立つ現場

この計算式は、ビルや工場などの給排水設備において、選定するポンプ用モータの定格容量を決定する際に不可欠です。例えば、貯水槽から屋上の高架水槽へ水を送る際、設計上の揚水量と高さが決まれば、必要なモータの出力が算出できます。

電気工事士は、算出された理論上の必要電力だけでなく、始動電流や力率、配線の電圧降下なども考慮して、適切なブレーカーや電線サイズを選定しなければなりません。この問題で学ぶ公式は、電気設備設計という大きなプロジェクトの入り口にあたる、最も基礎的な負荷計算の考え方です。

参考リンク

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