平成24年度 筆記試験 問11 解説 白熱電球の特性
定格電圧100[V]、定格消費電力100[W]の白熱電球に関する記述として、正しいものは。
- イ. 点灯していないときに、回路計(テスタ)で抵抗値を測定すると1000[Ω]を示す。
- ロ. 2個を並列に接続して、100[V]を加えると合計で50[W]の電力を消費する。
- ハ. 電源電圧が95[V]で使用しても、105[V]で使用しても寿命はほとんど変わらない。
- ニ. 周波数が50[Hz]で使用しても、60[Hz]で使用しても消費電力は同じである。 ✓ 正答
解説
この問題は、白熱電球が「純抵抗(抵抗負荷)」であるという性質を理解しているかを問うものです。消費電力 という式と、白熱電球の物理的特性を組み合わせることで、各選択肢の正誤を瞬時に判断できます。
白熱電球は純抵抗として扱う
交流回路において、コイル(誘導性)やコンデンサ(容量性)は周波数によってリアクタンスが変化しますが、白熱電球はフィラメントという単なる導線に電流を流して発熱させる装置です。そのため、周波数が50Hzであろうと60Hzであろうと、そのインピーダンスは抵抗成分のみとなり、消費電力は変わりません。これが正解の根拠となります。
各選択肢を精査するプロセス
他の選択肢がなぜ誤りであるかを確認することで、電気回路の基礎理論をより深く理解できます。
イについて 白熱電球の定格時の抵抗 は、 です。しかし、これは「点灯してフィラメントが白熱状態(約2000℃以上)にあるとき」の抵抗値です。回路計(テスタ)で測定するのは「冷間時」の抵抗であり、金属の抵抗温度係数の影響で、実際には定格時の数分の1から10分の1程度(この場合、10〜20Ω前後)の小さい値を示します。したがって1000Ωにはなりません。
ロについて 並列接続の場合、各電球に加わる電圧は変わらず100Vのままです。1個で100W消費する電球を2個並列にすれば、合計の消費電力は となります。50Wになるのは直列接続した場合の計算結果です。
ハについて 白熱電球の寿命は電圧に対して非常に敏感です。電圧が定格より高くなるとフィラメントの蒸発が激しくなり、寿命は急激に短くなります。逆に電圧が低いと寿命は極端に延びますが、明るさは低下します。したがって「ほとんど変わらない」という記述は誤りです。
現場で役立つ電気の知恵
試験の問題としてだけでなく、実務でもこの知識は重要です。例えば、古い電化製品や照明器具を別の地域(50Hz/60Hzの混在地域)へ持ち込む際、それがモーター駆動のものか、単なる抵抗負荷なのかを判別する必要があります。モーターの場合は回転数が周波数に依存するため注意が必要ですが、白熱電球や電気ストーブのような抵抗負荷であれば、周波数を気にする必要がないという判断基準になります。第一種電気工事士の現場では、負荷の特性を見極め、適切な機器選定やトラブルシューティングを行う能力が求められます。