平成24年度 筆記試験 問17 解説 変圧器の保護継電器
変電所の大形変圧器の内部故障を電気的に 検出する一般的な保護継電器は。
- イ. 距離継電器
- ロ. 比率差動継電器 ✓ 正答
- ハ. 不足電圧継電器
- ニ. 過電圧継電器
解説
内部故障保護のキーワードを見抜く
変圧器の保護に関する問題では、対象が「内部故障」であるか「外部故障(短絡や過負荷)」であるかを見極めることが最優先です。変圧器の一次側と二次側の電流の差を比較することで、変圧器内部の短絡や地絡事故を瞬時に検出する比率差動継電器が正解となります。
比率差動継電器の役割と仕組み
変圧器は、一次側と二次側で電圧や電流の大きさが異なります。しかし、変圧器内部が正常であれば、入力される電流(一次側)と出力される電流(二次側)の大きさは、変圧比を考慮すれば一致するはずです。
比率差動継電器は、変圧器の両端に設置した変流器(CT)からの電流を比較します。正常時は電流の差がゼロ(または非常に小さい)ですが、変圧器内部で絶縁破壊などの事故が発生すると、流入電流と流出電流のバランスが崩れます。この「差」を検出して動作するのが比率差動継電器です。単なる差動継電器と異なり、外部事故時のCTの誤差による誤動作を防ぐための「抑制コイル」を備えているのが特徴です。
誤った選択肢の考え方
他の選択肢は、変圧器の内部保護という目的には適していません。
距離継電器(イ)は、送電線などの長距離区間の保護に用いられ、インピーダンスの変化を測定するものです。不足電圧継電器(ハ)や過電圧継電器(ニ)は、電圧の異常を監視するものであり、内部短絡による電流異常をピンポイントで検出する用途には向いていません。変圧器内部の「電流のアンバランス」を狙い撃ちできるのは比率差動継電器だけです。
実務における保護の重要性
電気設備において、変圧器は心臓部とも呼べる重要な機器です。内部故障は大規模な停電や火災事故につながる可能性があるため、極めて高い信頼性が求められます。
試験においてこの知識を問う意図は、保護継電器の適用範囲を正しく理解しているかを確認することにあります。現場のエンジニアは、機器の保護が必要な範囲(保護区間)に合わせて、適切な動作原理を持つ継電器を選定しなければなりません。比率差動継電器を知ることは、電力系統の安全を守るための「検知の基本ルール」を学ぶことと同義なのです。