第一種電気工事士試験 / 平成25年度 筆記試験 / 問8
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平成25年度 筆記試験 問8 解説 三相3線式電圧降下

設問図

図のような三相3線式配電線路で、電線1 線当たりの抵抗をr[Ω]、リアクタンスをx [Ω]、線路に流れる電流をI[A]とするとき、 電圧降下(Vs-Vr)[V]の近似値を示す式は。 ただし、負荷力率cosφ>0.8で、遅れ力率 とする。

  1. √3I(rcosφ-xsinφ)
  2. √3I(rsinφ-xsinφ)
  3. √3I(rsinφ+xcosφ)
  4. √3I(rcosφ+xsinφ) ✓ 正答

解説

三相3線式配電線路における電圧降下の近似式は、公式として暗記しておくのが最も効率的です。この問題は、遅れ力率における電圧降下が「抵抗による降下分」と「リアクタンスによる降下分」の和として表されることを理解していれば、迷わず選択肢のニを選ぶことができます。

電圧降下の基本公式

三相3線式線路において、受電端電圧 VrV_r に対する送電端電圧 VsV_s の差(電圧降下)は、近似的に以下の式で与えられます。

VsVr=3I(rcosϕ+xsinϕ)V_s - V_r = \sqrt{3}I(r\cos\phi + x\sin\phi)

ここで、各項の役割は以下の通りです。

  • 3I\sqrt{3}I: 三相回路の線電流と線間電圧の関係を示す係数です。
  • rcosϕr\cos\phi: 電線の抵抗成分 rr によって生じる電圧降下(有効分)です。
  • xsinϕx\sin\phi: 電線のリアクタンス成分 xx によって生じる電圧降下(無効分)です。

遅れ力率の場合、負荷で消費される有効電力と無効電力の両方が線路の電圧降下に影響するため、これら2つの要素を足し合わせたものが全体的な電圧降下となります。

式の構成を理解するプロセス

この公式を導出する際、ベクトル図を用いて送電端電圧と受電端電圧の差を考えます。電流 II を基準ベクトルとしたとき、受電端電圧 VrV_r は力率角 ϕ\phi だけ進んだ位置にあります。線路のインピーダンス Z=r+jxZ = r + jx による電圧降下 I(r+jx)I(r + jx) を加味すると、送電端電圧 VsV_s の大きさは Vr+I(rcosϕ+xsinϕ)V_r + I(r\cos\phi + x\sin\phi) と近似できます。

ポイントは、力率が遅れの場合、リアクタンスによる電圧降下も電圧の低下として加算される点です。もしこれが進み力率であれば、sinϕ\sin\phi の符号が負になり、リアクタンスが電圧降下を打ち消す方向に働くことになります。試験対策としては、「遅れ力率ならプラス、進み力率ならマイナス」とセットで覚えておくと、応用問題にも対応できます。

実務および試験における意義

この計算式は、電気設備の設計において極めて重要な役割を果たします。電気工事士は、幹線を設計する際に「電圧降下が規定値(例:内線規程における2%や5%)を超えないか」を必ず検証しなければなりません。

実際の現場では、電線の太さを選定するために、この近似式を用いて電圧降下を算出します。もし算出結果が許容範囲を超えていれば、より太い電線を選定して rrxx を小さくする、あるいは配線距離を短縮するなどの対策が必要になります。試験でこの式を問うのは、単なる知識の確認だけでなく、電気設備の設計計算という「電気工事士の本来的な職責」を遂行できるかを確認する意図が含まれています。

参考リンク

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