平成25年度 筆記試験 問31 解説 地中埋設工事の深さ
②で示す地中にケーブルを施設する場合、 使用する材料と埋設深さ(土冠)として、不 適切なものは。 ただし、材料は JIS 規格に適合するものと する。
- イ. ポリエチレン被覆鋼管 舗装下面から 0.2〔m〕 ✓ 正答
- ロ. 硬質塩化ビニル管 舗装下面から 0.3〔m〕
- ハ. 波付硬質合成樹脂管 舗装下面から 0.5〔m〕
- ニ. コンクリートトラフ 地表面から 1.2〔m〕
解説
この問題は、地中埋設工事における「埋設深さ」の基準を問うものです。解法のポイントは、車両その他の重量物の圧力を受ける場所か、そうでない場所かを見極め、それぞれの規定深さと比較することにあります。
車両等の圧力と埋設深さの基準
地中電線路を施設する場合、その場所が車両や重量物の圧力(荷重)を受けるかどうかで、求められる最小の埋設深さが大きく異なります。
まず、車両その他の重量物の圧力を受ける場所では、堅固な管(鋼管など)に収めるか、あるいは十分な強度を持つ防護措置をとる必要があります。このとき、鋼管であれば0.6m以上、その他の管(合成樹脂管など)であれば1.0m以上の埋設深さが必要です。
一方で、車両の圧力等を受けない場所であれば、原則として0.6m以上の深さで埋設すればよいとされています(ただし、さらに堅固な防護措置を施す場合は0.3mまで短縮可能です)。
選択肢を判断するプロセス
この問題では、「舗装下面」とあることから、車両の通行が想定される場所であることを読み取る必要があります。
イのポリエチレン被覆鋼管は鋼管の一種ですが、舗装下面から0.2mという深さは、重量物の圧力を受ける場所として規定されている「0.6m以上」を大きく下回っています。どれだけ頑丈な管を使用しても、物理的に地面に近すぎると車両の重みで管やケーブルが損傷する危険性が高いため、この深さでの埋設は不適切となります。
他の選択肢であるロ(0.3m)、ハ(0.5m)、ニ(1.2m)の数値も、現場の状況や防護方法との組み合わせを個別に確認する必要がありますが、この問題の本質は「車両が通行する場所において、0.2mという深さが物理的に安全基準を満たしているか」を判断させる点にあります。特に0.2mという数字は、地中埋設工事の基準として明らかに浅すぎます。
安全と実務の結びつき
この基準は、単なる暗記項目ではなく、電気設備が外部からの物理的な外力によって事故を起こさないようにするための防波堤といえます。
実際の施工現場では、地中には電気ケーブル以外にもガス管、水道管、通信線などが埋設されています。掘削を行う際には、事前に埋設物の図面を確認するだけでなく、万が一重機が接触しても即座に事故にならないよう、規定された深さまで掘り下げることが求められます。また、もし現場の都合で規定深さを確保できない場合には、トラフに入れたり、コンクリートで覆うなどの追加の防護措置を講じ、基準をクリアする設計変更が必要となります。
第一種電気工事士として、このような基準を知っておくことは、施工管理の現場で「掘削の深さが十分か」「必要な防護がなされているか」を適正に判断するために不可欠な知識です。