平成25年度 筆記試験 問32 解説 B種接地抵抗値
③に示すキュービクル内の変圧器に施設するB種接地工事の接地抵抗値として許容される最大値 [Ω] は。 ただし、高圧と低圧の混触により低圧側電路の対地電圧が150 [V] を超えた場合、1秒以内に高圧電路を自動的に遮断する装置が設けられており、高圧側電路の1線地絡電流は6 [A] とする。
- イ. 25
- ロ. 50
- ハ. 100 ✓ 正答
- ニ. 120
解説
接地抵抗値の計算手順は以下の通りです。
- 基礎となる抵抗値 を計算する。
- 遮断装置による緩和係数を乗じて最終的な最大値を求める。
今回の条件では、 [A] なので、 [Ω] となります。次に、混触時に1秒以内で自動遮断する装置があるため、規定によりこの値の4倍まで緩和されます。したがって、 [Ω] が答えとなります。
B種接地工事の抵抗値算出の基本ルール
B種接地工事は、高圧電路と低圧電路が混触した際、低圧側の電位上昇を抑えて感電事故を防ぐための非常に重要な接地です。原則として、 [Ω]( は高圧電路の1線地絡電流)が基準値となります。
この式は、混触時に低圧側の対地電圧が危険なレベルまで上昇しないよう計算されています。しかし、電気設備技術基準では、地絡発生時に速やかに高圧電路を遮断できる装置が設置されている場合、その安全性を評価して接地抵抗値を大きく(緩く)することが認められています。
自動遮断装置による緩和の考え方
今回の試験問題において重要なのは「何秒以内で遮断するか」という点です。遮断時間に応じて、計算した の値に以下の倍数を乗じることができます。
- 1秒以内:4倍
- 2秒以内:2倍
- 上記以外:1倍(緩和なし)
今回は「1秒以内」という条件があるため、計算した25オームを4倍して100オームまで許容されるというプロセスで導き出します。実務において、接地抵抗値を低く保つ(値を小さくする)ことは多大な工事費用と手間を要します。遮断装置を適切に設計・設置することで、接地工事の経済性を高めつつ、保安基準をクリアするというのがこの制度の背景です。
現場における接地設計の重要性
この知識は、キュービクル(高圧受電設備)の設計や保守において直結するものです。現場では、実際に接地抵抗計を使用して実測値を確認しますが、設計段階で「この接地抵抗値以下にしなければならない」という目標値を正しく算出できなければ、工事後の竣工検査で不合格となってしまいます。
また、地絡電流 は架空電線路の対地静電容量などによって変化するため、受変電設備の容量が変われば再計算が必要です。試験では定数として与えられますが、実務では地絡継電器の動作時間と連動して「どの程度の接地抵抗値なら安全か」という判断を現場の保安管理者が行う必要があります。この問題は、単なる暗記ではなく、保護協調と経済性のバランスを理解するための基礎的なステップといえます。