第一種電気工事士試験 / 平成26年度 上期 学科試験 / 問6
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平成26年度 上期 学科試験 問6 解説 配電線の電力損失

設問図

図のように、定格電圧V[V]、消費電力P [W]、力率cosφ(遅れ)の三相負荷に電気 を供給する配電線路がある。この配電線路の 電力損失[W]を示す式は。 ただし、配電線路の電線1線当たりの抵抗 はr[Ω]とし、配電線路のリアクタンスは 無視できるものとする。

選択肢図
  1. イ. P^2r/V^2cos^2φ ✓ 正答
  2. ロ. P・r/Vcosφ
  3. ハ. P^2・r/V^2cosφ
  4. ニ. P・r^2/Vcos^2φ

解説

この問題を解くための手順は、以下の3ステップです。

  1. 三相電力の式から線電流 II を求める。
  2. 三相回路の全電力損失(3×I2×r3 \times I^2 \times r)の式に、ステップ1で求めた電流を代入する。
  3. 式を整理して選択肢と照合する。

三相回路における電流と電力損失の関係

三相3線式回路において、線間電圧を VV、力率を cosϕ\cos \phi、消費電力を PP とすると、これらの間には以下の関係式が成り立ちます。

P=3VIcosϕP = \sqrt{3} V I \cos \phi

この式を変形すると、線路に流れる電流 II は次のように表せます。

I=P3VcosϕI = \frac{P}{\sqrt{3} V \cos \phi}

次に、電線1線あたりの抵抗を rr とすると、1線あたりの損失は I2rI^2 r です。三相3線式では電線が3本あるため、全電力損失 PLP_L は次のようになります。

PL=3×I2×rP_L = 3 \times I^2 \times r

式の展開による導出

先ほど求めた電流の式を、電力損失の式に代入して計算を進めます。

PL=3×(P3Vcosϕ)2×rP_L = 3 \times \left( \frac{P}{\sqrt{3} V \cos \phi} \right)^2 \times r

カッコの中を二乗すると、分母の 3\sqrt{3} は 3 となり、分子の PPP2P^2 となります。

PL=3×P23V2cos2ϕ×rP_L = 3 \times \frac{P^2}{3 V^2 \cos^2 \phi} \times r

この式の分子と分母にある 3 を約分することで、結論が得られます。

PL=P2rV2cos2ϕP_L = \frac{P^2 r}{V^2 \cos^2 \phi}

これが、選択肢イに該当します。

配電線路の損失を理解する意義

この問題は、なぜ「電圧を高くする」と「効率が良い(損失が減る)」と言われるのかという電気の基本原理を問うています。

式を見ると分かる通り、電力損失 PLP_L は、送電電圧 VV の二乗に反比例します。つまり、同じ電力を送る場合でも、電圧を 2 倍にすれば電力損失は 4 分の 1 にまで低減できるのです。これが、送電や配電の現場で高電圧が採用される最大の理由です。

また、力率 cosϕ\cos \phi が低い場合(1に近いほど良い)、分母の cos2ϕ\cos^2 \phi が小さくなるため、同じ電力を送るにもかかわらず多くの電流が流れ、損失が激増します。電力会社が産業用需要家に対して「力率改善」を求めるのは、まさにこの式で示されるような送配電ロスを未然に防ぐためです。現場の技術者として、負荷設備が配電線路に与える物理的な影響を正しく理解することは、省エネ提案や設備設計の根幹となります。

参考リンク

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