平成26年度 上期 学科試験 問17 解説 アーマロッドの役割
架空送電線路に使用されるアーマロッドの 記述として、正しいものは。
- イ. がいしの両端に設け、がいしや電線を雷の異常電圧から保護する。
- ロ. 電線と同種の金属を電線に巻きつけ補強し、電線の振動による素線切れなどを防止する。 ✓ 正答
- ハ. 電線におもりとして取付け、微風により生じる電線の振動を吸収し、電線の損傷などを防止する。
- ニ. 多導体に使用する間隔材で強風による電線相互の接近・接触や負荷電流、事故電流による電磁吸引力のための素線の損傷を防止する。
解説
アーマロッドは、電線に「巻き付けて補強する」部材であると結びつけることが正解への最短ルートです。このキーワードを覚えていれば、他の選択肢との混同を避けられます。
アーマロッドの役割と特徴
アーマロッド(armor rod)は、送電線において支持点(がいし装置付近)の電線を補強するために使用されます。送電線は風によって常に微細な振動を起こしており、この振動が支持点に集中すると、電線の素線が疲労して断線する恐れがあります。
アーマロッドは、電線と同種の金属(アルミ合金など)で作られた棒状の部材を、電線の支持点付近にらせん状に巻き付けます。これにより以下の効果が得られます。
- 電線の剛性を高め、曲げモーメントを分散させる。
- 支持点における電線の表面摩耗や、フラッシオーバ時の熱による素線損傷を軽減する。
- 振動による疲労を抑制し、長期間にわたる線路の健全性を維持する。
誤選択肢の正体を見抜く
この問題は、送電線路に設置される様々な付属品の役割を整理できているかを問うています。他の選択肢は、アーマロッド以外の代表的な装置を指しています。
イ:がいしの両端に設け、異常電圧から保護するものは「アーキングホーン(放電角)」です。 ハ:電線におもりとして取付け、振動を吸収するものは「ダンパ(振動ダンパ)」です。 ニ:多導体の電線同士を一定の間隔に保持するものは「スペーサ」です。
試験では、これらの名称と機能が一致しているかを判断できることが求められます。特に「振動対策」という目的は共通していますが、その「アプローチ方法(補強するのか、吸収するのか、間隔を保つのか)」によって部材が異なる点に着目しましょう。
送電設備を守るメンテナンスの考え方
送電線は一度建設されると、数十年にわたって過酷な環境下で運用されます。夏場の高温による熱膨張、冬場の着氷雪、強風による振動など、外部要因による物理的なストレスをいかに受け流し、あるいは耐え抜くかという設計思想が、これらの部材には込められています。
アーマロッドのような補強部材は、電線の寿命を延ばすために非常に費用対効果の高い手段です。架空送電線路の設計・維持管理の現場では、単に電気を流すだけでなく、物理的な信頼性をどう確保するかがエンジニアの腕の見せ所となります。この問題は、試験対策の知識としてだけでなく、実際の送電インフラがいかにして長期間の安定運用を実現しているかを理解するための導入といえます。